研究課題
福岡県内の糖尿病を専門とする医療機関16施設に平成20年から22年にかけて通院中の糖尿病患者5131人について、食事、運動、メンタルヘルス、検査値、治療を含む臨床情報ならびに血液、尿、DNAを収集し、コホート集団とした。5年間にわたり、登録患者の治療状況や合併症(脳心血管障害、腎機能、網膜症、足病変、重症低血糖、骨折、癌など)について医師が直接カルテや画像診断などを閲覧して調査した。追跡率は97%以上となった。本年度の論文発表は、①喫煙と血糖コントロールの関係を検討し、喫煙の本数が増加する程、血糖コントロールが悪化し、禁煙後は血糖コントロールが改善していた。これらの変化はインスリン抵抗性、全身微小炎症、アディポネクチンなどの変化と一致していた(PLoS ONE)、②糖尿病患者にはうつ症状が高頻度に見られるが、重症低血糖がうつ症状の強さと関連することを見出した(BMJ Open)、③日本人にはアルデヒド デヒドロゲナーゼ活性が遺伝的に低い遺伝子多型が存在するが、この遺伝子多型と糖尿病合併症との関係を飲酒習慣の有無で検討した。低活性の遺伝子多型を有する人は飲酒の有無にかかわらず心筋梗塞のリスクが高かったが、飲酒者では細小血管障害の合併が少ないことを見出した(PLoS ONE)。学会発表は、追跡調査の中間報告として、生命予後と重症低血糖、慢性腎臓病、食事マグネシウム摂取量との関連を報告した。また、環境―遺伝子相互作用として、肥満に及ぼす肥満遺伝子と食物繊維摂取量の相互作用や、血糖コントロールに及ぼす2型糖尿病遺伝素因と生活習慣との相互作用を検討した。重症低血糖が糖尿病合併症や予後に及ぼす影響について第50回糖尿病の進歩において招待講演を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
PLoS ONE
巻: 10 ページ: e0122023
10.1371/journal.pone.0122023
BMJ Open Diab Res Care
巻: 3 ページ: e000063
10.1136/bmjdrc-2014-000063
巻: 10 ページ: e0143288
10.1371/journal.pone.0143288
http://www.diabetes.med.kyushu-u.ac.jp/fdr/