研究課題/領域番号 |
23249038
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
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研究分担者 |
桑平 一郎 東海大学, 医学部, 教授 (60186567)
白井 幹康 独立行政法人国立循環器病研究センター研究所, 心臓生理機能部, 部長 (70162758)
呉林 なごみ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50133335)
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 低酸素 / 心不全 / オートファジー / ユビキチン化 / β-アドレナリン受容体 |
研究概要 |
多数のラットを飼育箱の中で間歇的低酸素曝露(Intermittent Hypoxia: IH)暴露できる装置を開発し、右心肥大等、睡眠時無呼吸症候群の病態動物を再現性高く作成できる技術を確立した。 IHにより心筋にオートファジーが誘導されていることを見出し、オートファジー阻害剤投与下、IH暴露によって、2~3週の間に急激に心不全が進行することを見出した。IHによりUbiquitin(Ub)化、及び4-hydroxynonenal(HNE)修飾された蛋白が増え、オートファジー阻害剤でさらに増加したことから,Ub-HNE修飾を受けた凝集蛋白の蓄積が心不全の原因と考えられた。Akt,AMP kinaseの活性低下より、mTOR活性が抑制された結果、オートファジー経路が活性化されたことを明らかにした。 IH3週・6週曝露後、摘出灌流心を用い、虚血再灌流時の心機能が改善傾向を示すこと、冠動脈抵抗が上昇していることを見出した。 Spring8における放射光発生装置を用いた研究(国立循環器病センター等との共同研究)により、IH暴露6週後、急性低酸素曝露による肺血管収縮(Hypoxic Pulmonary Constriction: HPV)が抑制されていた。この現象に(β-Adrenalin Receptor:β-AR)、一酸化窒素産生酵素(NOS)が関与していることを見出した。Β-AR1,2,3型に対応した遮断剤の効果を検討した結果から、型特異性があることを見出し検討中である。 IH2週曝露後、血圧が上昇することを確認し、腸間膜血管標本の張力測定より、血管内皮機能の低下傾向を見出し、分析を進めている。 IHにより、ミトコンドリア酵素の増加(mitochondria biogenesis)とオートファジー(電子顕微鏡で確認)が同時に起こっている。その意義と分子機構について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、論文を1つ投稿中であり、1つ投稿準備中である。装置の独自性から、他の施設で見つかっていない現象を複数再現できている。来年度中に、さらに、複数の論文を作成できると思われる。共同研究者が増え、さらに成果が増えることが期待されている。
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今後の研究の推進方策 |
多施設共同研究であり、個々に異なる技術、専門領域を持つことから、情報を共有すること、直接、打ち合わせる機会を定期的に持つことを決めて、実施した。今後、共同研究者の実験結果を補強しながら、論文にまとめるために、相互に助け合うことを考える必要がある。また、新たに参入を希望する機関もあるため、研究課題の棲み分け、調整が必要になる。
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