研究課題/領域番号 |
23249043
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
坪内 博仁 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60145480)
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研究分担者 |
井戸 章雄 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30291545)
桶谷 眞 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50274816)
宇都 浩文 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20347058)
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キーワード | プロテオミクス / 肝細胞癌 / C型慢性肝炎 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 膵癌 / 自己免疫性膵炎 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 |
研究概要 |
肝細胞癌に関連するバイオマーカー探索では、肝細胞癌患者血中に増加する蛋白としてアポトーシス抑制因子(AIM)を同定した。また、このAIMの上昇は背景肝の肝線維化と関連することを明らかにした。C型慢性肝炎インターフェロン治療難治例の治療効果予測マーカーの探索では、ペグインターフェロンとリバビリンにセリンプロテアーゼ阻害剤を併用すると、C型慢性肝炎に対する治療効果は高くなるが、その3剤併用療法でもウイルス消失が得られない患者が存在し、その治療効果予測法は十分明らかになっていないことに着目した。その解析過程でHCV蛋白と補体との関連を明らかにし、同定した蛋白が治療効果と関連する可能性があることを明らかにした。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のバイオマーカー探索と同定したタンパクの臨床的意義の解明では、プロテオーム解析から同定したキニノーゲン断片やヒト好中球ペプチド(HNP-1)は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくはNASHのバイオマーカー候補であることを明らかにした。また、同定したKininogen断片のELISA測定系を確立した。膵癌と自己免疫性膵炎患者血清を用いたバイオマーカー探索では、患者血清を用いたプロテオーム解析から、膵炎に関連する蛋白としてアポリポプロテインEやトランスサイレチンなどを同定した。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)患者血清のプロテオーム解析では、潰瘍性大腸炎(UC)患者にHNP-1が増加していることを明らかにし、HNP-1の腸炎に及ぼす作用を明らかにした。また、フィブリノペプチドAがクローン病患者血中に増加することも明らかにした。このように、本研究では、プロテオーム解析法を用いて難治性消化器疾患と関連する蛋白をいくつか同定しており、今後、同定した蛋白の臨床的意義や病態との関連をさらに明らかにすることで、診断法や治療法の臨床応用を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロテオーム解析法を用いて難治性消化器疾患と関連する蛋白を同定し、同定した蛋白の臨床的意義や病態との関連を明らかにすることで、診断法や治療法の臨床応用を目指すことを目的としており、初年度である23年度は、病態と関連する候補蛋白をいくつか同定しており、臨床的意義も検討を開始しているため、区分(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、プロテオーム解析法を用いて難治性消化器疾患と関連する蛋白を同定し、同定した蛋白の臨床的意義や病態との関連を明らかにすることで、診断法や治療法の臨床応用を目指している。特に、23年度は、肝疾患と関連する蛋白としてアボトーシス抑制因子(AIM)、補体断片:NAFLDと関連する蛋白としてキニノーゲン断片、ヒト好中球ペプチド(HNP-1)、膵炎と関連する蛋白としてアポリポプロテインE、トランスサイレチン、炎症性腸疾患と関連する蛋白としてHNP-1、フィブリノペプチドAなどを同定しており、24年度はこれらの蛋白を中心に解析を進める。
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