研究課題/領域番号 |
23249047
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
市川 家國 東海大学, 医学部, 非常勤教授 (80317768)
|
研究分担者 |
松阪 泰二 東海大学, 医学部, 准教授 (50317749)
本島 英 東海大学, 医学部, 講師 (80468636)
|
キーワード | ポドサイト / アンジオテンシン / 糸球体硬化症 / 慢性腎臓病 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
ポドサイトからポドサイトへの傷害伝達の機序の解明と治療手段の開発をめざす本プロジェクトには、当初HIV-1腎症モデルマウスを使用する計画であった。しかしながら、このモデルは、遺伝的背景の影響を強く受けるので、解析が複雑になる。そこで、遺伝的背景に影響を受けず、イムノトキシンにより一部のポドサイトに傷害を誘導可能で、かつ再生産可能なモザイクマウスの開発に着手した。強力なROSA26プロモーターの下流に、変異loxP、EGFP、hCD25を挿入し、Cre recombinaseにより、ランダムにEGFPまたはhCD25が発現するようにデザインした。初年度は、ES細胞導入用のベクター構築に力を注ぎ、ES細胞への導入と、キメラマウスの作成、ヘテロマウスの作成は、外部施設に委託して行った。これら一部は、平成23年度の研究費を一部繰越して、平成24年度に行われた。 SV40Tをポドサイト特異的に、doxycycline投与により誘導可能なマウスを用いて、胎生期でポドサイト数を増やす実験的試みを行った。使用したマウスは、成長後ではdoxycyclineによって、ポドサイトは細胞周期に再入するものの、増殖は軽度にとどまっていた。これに対して、胎生期にdoxycyclineを投与すると、podocyte数の著明な増加が認められた。しかしながら、多くのポドサイトは糸球体毛細血管から離脱して、ボーマン腔内に脱落していた。 In vitroで培養液を灌流させた状態でポドサイトを培養する準備を進めた。SnapWell上に生着させた培養ポドサイトのviabilityを良好に保つ事できないという技術的問題が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定を変更して、一部のポドサイトの傷害可能なモザイクマウスモデルの創出を行う事になった。そのために、Atg5ノックアウトマウスの導入は、保留する事にした。胎生期のポドサイト数を増加させるということは、一応予定どおり達成された。In vitroでのポドサイトへの灌流圧の影響を見る計画は、困難な技術的問題に直面し、計画通りには進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
一部のポドサイトの傷害可能なモザイクマウスモデル確立に力を集中し、Atg5ノックアウトマウスの導入はその後に行う事にした。また、すでに発表されているオートファジーの阻害実験より、促進の影響を見る実験の方が、治療手段の研究としては有益を思われるので、その予備実験に着手する。CAKUTのモデルマウスとして、bcl-2ノックアウトマウスを導入し、SV40T発現マウスと交配を進める。In vitroでのポドサイトへの灌流圧の影響を見る実験は、優先順位を下げ、余裕があれば継続する事にする。 ポドサイト傷害の最終帰結は糸球体硬化症である。本計画はポドサイト傷害がどのように拡大し、糸球体硬化症となるかを調べる事である。糸球体硬化症であるコラーゲンの蓄積がどのように開始するかという視点からも、研究をすすめてゆきたい。
|