研究課題/領域番号 |
23249047
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
市川 家國 東海大学, 医学部, 非常勤教授 (80317768)
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研究分担者 |
松阪 泰二 東海大学, 医学部, 准教授 (50317749)
本島 英 東海大学, 医学部, 講師 (80468636)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポドサイト / アンジオテンシン / 糸球体硬化症 / 慢性腎臓病 / トランスジェニックマウス / コラーゲン |
研究概要 |
遺伝的背景に影響を受けず、イムノトキシンにより一部のポドサイトに傷害を誘導可能で、かつ再生産可能なモザイクマウスの開発を進めた。Cre recombinaseにより、ランダムにEGFPまたはhCD25が発現するようにデザインしたマウスのES細胞を作成し、キメラマウス、ヘテロマウスを作成し、Nephrin-Creトランスジェニックマウスとの交配をすすめた。並行して、オートファジーを誘導するシステムの予備実験を行った。Dram1は、p53により発現が促進し、オートファジーを誘導するが、apoptosisを誘導する事はないと報告されている。Dram1の誘導によりポドサイトの保護が可能か予備実験を行った。マウスDram1 cDNAをクローニングして、tet-Offのシステムを利用してHELA細胞に導入した。オートファジーの誘導活性は再現性のある結果が得られず、報告されているような顕著な効果はない事が示唆された。 ポドサイト数を増やす事によりCAKUTのモデルの治療を試みる実験に関しては、CAKUTモデルであるbcl-2ノックアウトマウスを導入し、SV40T発現マウスとの交配を進めた。 ポドサイト傷害から糸球体硬化への過程を調べるうちに、I型コラーゲンα2鎖遺伝子 (Col1a2)のmRNAが顕著に減少する事に気がついた。これは、糸球体硬化症がI型を含むコラーゲンの蓄積で特徴づけられる事を考えると奇妙である。I型コラーゲンは、2本のα1鎖と1本のα2鎖のヘテロトリマーであるが、α2鎖が存在しない場合は、α1鎖からのみ構成されるホモトリマーを形成し、これは分解されにくい事が報告されている。ポドサイト傷害後の糸球体のα2鎖産生の動態を精査する事が重要と考え、Col1a2-EGFPトランスジェニックマウスを導入し、解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一部のポドサイトの傷害可能なモザイクマウスモデルの創出に関しては、ES細胞から首尾よくキメラマウスの生殖細胞へと分化し、トランスジェニックマウスのコロニーを樹立できた。Cre組換えによりイムノトキシン受容体がポドサイトに発現するかどうかは、翌年度に解析する事となる。オートファジーを促進させる実験は、実施をしたが、期待される結果が得られていない。 ポドサイト数を増やす実験は、予定どおり進行している。 今年度から着手した糸球体コラーゲンの研究は、従来の常識を覆す新発見の端緒を得た可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
1)モザイクモデルの作成 2) ポドサイト増殖実験 3) 糸球体コラーゲンの研究を柱として、進めてゆく。
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