研究課題
一部のポドサイトだけをイムノトキシンにより傷害することのできるモデルマウスの解析を集中的におこなった。基底状態では、約40%のポドサイトがイムノトキシン受容体を発現していた。イムノトキシン投与後には、イムノトキシン受容体発現ポドサイトのみならず、イムノトキシン受容体非発現ポドサイトもおくれて傷害され、最終的には全ポドサイトが傷害され、全節性の糸球体硬化症を示した。この病態の分子機序を解明するために、両タイプのポドサイトをFACSで単離し、遺伝子発現プロフィールを網羅的に解析した。いずれのタイプのポドサイトにおいても、Wt1やVegfa等ポドサイトを特徴づける遺伝子群の減少と、炎症関連遺伝子群の増加等、大規模な遺伝子発現変化が認められた。イムノトキシン受容体発現ポドサイトから非発現ポドサイトへと傷害を伝搬する可能性のある細胞外分子とその受容体を検索し、有力な候補分子を同定した。慢性腎不全の薬剤の標的を見出すためには、これらの候補分子の機能解析が重要であり、今後展開されるべき課題と考えられた。またイムノトキシン投与後、モデルマウスの雄は進行性の糸球体硬化症を示したのに対して、雌は2週目以降タンパク尿が減少し、組織学的な腎傷害は軽微であった。イムノトキシン受容体を発現するポドサイトの割合には性差がなかった。またイムノトキシン投与後に増加する遺伝子群では、有意にAndrogen反応性遺伝子が濃縮されていた。従って、ポドサイト傷害の細胞間伝搬に性差があることが示唆された。これがヒトの末期腎不全が男性に多い原因である可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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