研究課題/領域番号 |
23249056
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平家 俊男 京都大学, 医学研究科, 教授 (90190173)
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研究分担者 |
西小森 隆太 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70359800)
八角 高裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (00511891)
小原 収 (財)かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究所, 部長 (20370926)
神戸 直智 千葉大学, 医学研究院, 講師 (50335254)
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キーワード | 自己炎症疾患 / CAPS / 高IgD症候群 / NLRP3 / mevalonate kinase / モザイシズム / 次世代シークエンサー |
研究概要 |
本研究においては、1)CAPSにおいては、NLRP3の機能獲得型変異が報告されているが、なお半数の症例においてはNLRP3の変異を認めず、新たな原因を同定する必要がある、2)高IgD症候群においてはmevalonate kinaseの活性低下がどのような分子機構を介してインフラマソームの活性化を惹起するか不明である、3)CAPS、高IgD症候群とも、炎症制御機構の破綻による炎症という共通症状を有するが、同時にCAPSにお症状、高IgD症候群における中枢神経症状等、疾患特有な症状が存在し、疾患の統括的把握がなされていない、4)原因不明の多くの周期性発熱疾患が存在する、5)包括的治療基盤が確立されていない、という問題を提起し、その解決に向けて研究を進めている。1)に対しては、全世界的においてNLRP3遺伝子モザイシズムがCAPS発症の1つの大きな要因を占めるか否かを、全世界的より患者を集積し検索を行った。我々はすでに海外のCAPS研究主要施設から、通常の解析にて変異陰性とされている26例のDNAサンプルを入手し、サブクローニング法によりモザイシズムの有無、その頻度について検討した。その結果、18例(70%)の症例においてモザイシズムの存在を確認した。生物学的活性確認も行っており、CAPS患者の内、30%にも相当する症例がモザイシズムで発症していることを見出した。一方、依然10%程度の患者さんの原因遺伝子は不明である。今後次世代シークエンサーを用いた大量解析の系を確立し、サブクローニング法に比してより簡便で、高精度な解析を行い、1)、4)に対して、真の変異陰性CAPSを絞り込む。2)、3)に対する取り組みとして、日本における高IgD症候群の6例の内、5症例について疾患特異的iPS細胞を作製した。今後、造血細胞への分化、中枢神経系への分化のシステムを構築し、多臓器に及ぶ病態に対して、解析、治療基盤に確立を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CAPSについて、全世界的な視点から研究が行えており、貴重な成果が得られた。次世代シークエンサーの稼働についても順調に準備が進んでいる。iPS細胞作製においても、5例の高IgD症候群症例からの作成を行い、現在解析に着手している。治療法が確立されていない高lgD症候群に対しても、最重症例1例に対してアナキンラを用いる臨床試験に対する京都大学医の倫理委員会の審査を終了し、承認を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
既知の方向性に向けて、研究を加速する。次世代シークエンサーを用いた解析において、従来の患者DNAを使用する方法に加えて、エクソーム解析を組み入れる。未知の責任遺伝子の同定につなげる。iPS細胞を用いた病態解析、治療基盤開発に、低分子化合物ライブラリーを基盤とした研究を構築することを目指す。
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