研究概要 |
1.平成23年度の実施計画の根幹である以下の動物の準備を行った: Fabp7と結合力の強いアラキドン酸(ARA)/ドコサヘキサエン酸(DHA)の含有量を調整した以下の4種類の食餌を用意した。 ・ARA(-)/DHA(-):ARA,DHA共に含まない ・ARA(+)/DHA(-):ARA含む、DHA含まない ・ARA(-)/DHA(+):DHA含む、ARA含まない ・ARA(+)/DHA(+):DHA,ARA共に含む 上記のうち、ARA(+)/DHA(+)群がPUFA欠乏群の対照群と考えている。これらの餌を、交配2週間前から出生後離乳(3週齢)まで(ヒトの胎児期~思春期前に相当)C57BL/6マウスに投与した。 2.行動試験:prepulse inhibition test,forced swim test,tail suspension test(TST),light-dark test,open filed test(OF),Y maze test,elevated plus maze test,home cage activity test。これらの試験で有意差があったのは、PUFA欠乏群でTSTでの無動時間の上昇、OFでtotal distanceの減少、Y mazeで動くスピードの低下であった。これらの結果は、ヒトにおける意欲の低下に類似していると考えられた。 3.組織脂肪酸含量測定:興味深いことに、最近統合失調症で報告されたように、3週齢のマウス脳でPUFA欠乏群でネルボン酸の低下、ステアリン酸の上昇が認められた。 4.当初は平成24年度に行う予定であった組織学的解析を進めており、現在オリゴデンドロサイト、GABA含有細胞の数、形態を観察中である。 5.ヒト遺伝学的解析の一部を前倒しで行い、脂質関連分子も含んだ(全)ゲノム解析を行った。
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