研究課題/領域番号 |
23249067
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00205361)
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研究分担者 |
唐子 堯(唐偉堯) 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00313213)
石沢 武彰 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10422312)
浦野 泰照 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20292956)
秋光 信佳 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40294962)
チン ユ 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (00272394)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / バイオマーカー / 画像診断 / 治療 |
研究概要 |
癌組織あるいは癌の影響を受けた病変部位を検出可能なツールとして肝細胞癌(HCC)の血清マーカーとして臨床利用されている異常プロトロンビン(DCP)が有用であることをこれまでに示唆してきたが、小規模な研究にとどまっていた。当該年度においては、153例のHCC患者由来癌組織を用いてDCPの発現性を免疫組織化学的に解析し、臨床病理学的意義を検討した。その結果、97例(63.4%)のHCC患者において癌部組織でDCPの高発現が検出された。一方、癌部組織周辺の非癌部組織においてDCPの高発現が検出された症例数は20例(13.1%)のみであった。また、我々の研究グループでは、細胞外に分泌されたDCPがc-Metを高発現するHCC細胞の増殖を亢進させることをin vitroの解析で示唆したが、実際のHCC症例でのDCPとc-Metの連関性は不明であった。そこで、HCC症例由来組織中のDCPとc-Metの発現性を比較検討した。その結果、78例の癌部組織において、DCPの高発現とc-Metの高発現が同時に検出され、統計学的にも有意に高頻度であることがみとめられた。従って、過去にin vitroで示されたDCPとc-Metの連関性が、HCC患者組織においても検出されることが示唆された。これまでの研究で、DCP及びc-Metの高発現が癌患者の予後の悪化と相関することが見出されている。これらの抗原を標的として癌組織を高感度に検出できれば、病態が進行した癌組織を検出する技術に繋がると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度に計画していた「バイオマーカーの有用性の検討」に関しては、昨年度からさらに進展した成果を得られた。一方、「モデル動物を用いたin vivo実験による有効性の評価」に関する研究では、インドシアニングリーン(ICG)を用いた癌組織検出法の開発について一定の成果が得られたが、その手法を応用した治療技術の開発については現在検討している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
DCP及びc-Metに関する大規模症例数に基づく検討では、臨床病理学的な解析を実施し、癌の病態との関連性を明らかにする。高い特異性をもって腫瘍組織を認識することが明らかとなったICGについては、現在検討している光線力学的手法を用いた癌治療法への応用について引き続き研究を推進させる。そして、蛍光標識抗体によるバイオマーカーの認識を利用した高感度検出法の開発に関しては、ICGを用いて構築されたin vivo評価系を適用し、腫瘍組織検出ツールとしてのバイオマーカーの有効性を検討する。
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