研究課題/領域番号 |
23249067
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00205361)
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研究分担者 |
唐子 尭 (唐 偉) 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00313213)
石沢 武彰 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10422312)
浦野 泰照 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20292956)
秋光 信佳 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40294962)
チン ユ 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (00272394)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / バイオマーカー / 画像診断 / 治療 |
研究概要 |
当該年度の研究では、モデル動物を用いたin vivo解析系が蛍光発光を基盤とした治療技術の評価に応用可能であるかを検討した。前年度までに、肝細胞癌細胞の一種であるHuH-7を皮下移植したモデルに対してインドシアニングリーン(ICG)を投与すると、24時間後に腫瘍組織に集積するICGの蛍光像を描出することに成功した。ICGは、近赤外光を吸収して発熱する性質を有することから、光線力学的治療法に有用であることが期待された。そこで、ICGを集積させたHuH-7由来の腫瘍組織に対して近赤外光を照射したところ、近赤外光を照射していない群やICGを投与せずに近赤外光を照射した群と比べて腫瘍組織の生育が有意に抑制された。近赤外光照射後36時間の腫瘍組織を採取して細胞の形態を観察したところ、近赤外光を照射した部分において顕著な細胞の形態変化や死細胞の存在がみとめられた。従って、ICGを取り込んで蛍光発光した腫瘍には、近赤外光照射による光線力学的治療が有効であることが示唆された。また、本モデルは静脈投与した蛍光物質による腫瘍組織の描出や光線力学的治療法の評価に有用であると示されたことから、標識化抗体などの投与によって腫瘍組織を描出できれば、バイオマーカーの発現に基づいた蛍光検出技術や治療法の確立への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、「in vivo研究による評価系の構築と治療への応用的展開」という目的に従って、蛍光物質インドシアニングリーン(ICG)を投与して腫瘍を蛍光描出するモデルに対して近赤外光を照射する光線力学的治療を実施した。その結果、腫瘍を消失させることはできなかったものの、腫瘍の生育を遅延させることに成功した。腫瘍組織の蛍光発光に用いる材料や近赤外光の照射条件を検討することにより、さらなる治療効果の改善が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度までに、蛍光物質を用いた腫瘍組織の蛍光検出および光線力学的治療に関する評価を可能とする技術の確立を達成した。今後は、この技術を用いてバイオマーカーの発現に基づく腫瘍病変の検出に関する技術の確立を進める。この技術においては、バイオマーカーを認識する蛍光物質の作製が必須であり、この物質の感度が腫瘍組織の描出を大きく左右する。まずは、標的とするバイオマーカーの選定とそれに対する標識化抗体の作製を進めることを計画している。
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