研究課題/領域番号 |
23249072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 芳嗣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30166748)
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研究分担者 |
瀬戸 泰之 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00260498)
森 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10436470)
中島 勧 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40323597)
松原 全宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40361498)
張 京浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50302708)
矢作 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60158045)
内田 寛治 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60302709)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 重症感染症 / 免疫強化療法 / 敗血症 / サイトカイン / 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 / インターフェロンβ / バイオマーカー / 生体防御 |
研究実績の概要 |
末梢血中の貪食細胞機能を測定するパラメータの一つとしてGM-CSFによる好中球表面上の接着因子CD11bの発現量の上昇を定量してその上昇度をインデックスとする、CD11b-stimulation indexの標準化とその臨床応用の可能性についての論文は追加実験データを加える事で、英文誌に採択された。回盲部結紮穿孔後に、肺炎を誘導する、マウスの敗血症、肺炎モデルを確立した。軽微な腹膜炎を起こして4日後に、日和見感染菌である緑膿菌を投与すると、7日生存率が10%未満となり、感染防御能の高度に低下している事が伺われた。また腹膜炎後肺炎のマウス群は、腹膜炎なしの肺炎マウス群と比較して、肺炎18時間後の肺内の炎症性サイトカインの発現が高度に抑制されている事が確認された。さらに、腹膜炎ー肺炎群に、肺炎1日前にIFNβを700,000U/kg全身投与(皮下注射)すると、生存率が上昇し、肺内のサイトカイン発現量も非腹膜炎群と同程度まで回復した。肺胞マクロファージの貪食能、ケモカインであるKC発現能も腹膜炎先行群で低下し、IFNβ投与群で回復した。腹膜炎を起こす事で、肺内のTNFαとIL-10が上昇している事が確認されたため、それらと、健常マクロファージを共培養したところ、肺胞マクロファージの貪食能が低下した。その状態でIFNβを投与すると、貪食能、およびLPS刺激によるIL-6放出能が低下している事が確認された。これらより、IFNβは敗血症および引き続く肺炎時の自然免疫機能低下を復活させる事で、生存率を上昇させているメカニズムが伺えた。現在これらの投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物モデルでの有効性を確認する実験の再現性の実現に時間を要した。さらに動物モデルの知見が、敗血症患者や、手術侵襲後の患者に適用できるかどうかは患者血液のデータを解析する必要があるが、測定系を確立する準備が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
動物モデルでは、腹膜炎による肺胞マクロファージの機能低下を賦活するサイトカインの効果を確認した。類似の腹膜炎のより重篤なモデルでも生体防御効果が認められるサイトカインについて、そのメカニズムを詳細に検討する。さらに、ヒトへの応用に向けた、バイオマーカーを検討し、有効性が期待される患者条件を推定する。
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