研究課題/領域番号 |
23249074
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
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研究分担者 |
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
松田 浩一 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (90401257)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40264733)
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40326153)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70444966)
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キーワード | 尿路結石 / サル / オステオポンチン / ミトコンドリア / マクロファージ / マルチプレックス解析 / アディポネクチン / ゲノムワイド解析 |
研究概要 |
1.サル尿路結石形成モデルの作成 サルにおける腎結石の有病率を調査するために、京都大学霊長類研究所においてCTスキャンによる観察を開始した。 2.尿路結石の治療予防法確立に向けた5つのアプローチ (1)抗オステオポンチン(OPN)抗体による活性型OPNをターゲットとした分子標的治療薬の開発 マウスにおける成果を論文作成し、掲載された。 (2)尿細管細胞ミトコンドリア障害による結石形成とその予防法の確立 mPTP特異的阻害剤NIM811投与を実施し、ラットにおける結石予防効果を確認した。 (3)マクロファージ(Mφ)による結晶貧食作用を応用した結石溶解療法の樹立 ア)Mφ機能不全マウスを用いた結石形成・消失の観察 Mφ機能不全マウス(op/op)を用い、グリオキシル酸投与による結石形成量の増加を確認した。 イ)結石患者尿・血液を用いたサイトカイン・ケモカインのマルチプレックスアッセイ 患者から採取した尿の収集を進行中である。 (4)アディポサイトカインを用いた脂質ダイナミクス制御による結石予防法の開発 MetSモデルマウス(ob/ob)に対しグリオキシル酸投与を実施し、腎結石形成量の増加を同定した。 またマイクロアレイ解析によって、炎症・酸化ストレス関連遺伝子の発現増加を同定した。 (5)ヒトゲノムワイド解析による新規関連遺伝子の同定と機能解析 ヒトDNA検体を用い、ゲノムワイド関連SNP解析(GWAS)を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、5つのことを計画した。それぞれにおいて進展状況は異なるが、おおむね順調に進展している。I.抗体を用いた分子標的薬の開発は、現在サルを用いた研究が滞っており、(3)といえる。II.ミトコンドリア障害を防止する予防薬の開発については当初申請した内容まで達成しており、(1)といえる。III.マクロファージによる結石溶解療法は、マクロファージによる溶解機序をほぼ解明しており、(2)と考える。IV.脂肪ダイナミックス制限による予防法の開発は、その責任遺伝子の同定までこぎつけることが出来、(2)と考える。V.ゲノムワイド解析による遺伝子の同定と機能解析は新たな遺伝子を発見し、現在投稿中で、(1)と考える。
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今後の研究の推進方策 |
Iの研究については、サルを用いた結石モデルの作成に停滞していることから、安全性を確かめた後、ヒトに用いることも検討したいと考えている。IIの研究では新たな物質を2つ発見することが出来たので、本研究の当初の計画にはなかったが、さらに進んで臨床応用を目指したい。IIIについては、結石患者と健常者におけるマクロファージの機能を当初の計画通り遂行させたい。IVの研究についても、当初の目的をほぼ達成したので、計画を越えて臨床に応用することを考えている。Vの研究は、遺伝子の発見までは行き着けたので、それらの機能解析を本年度以降の課題としたい。
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