研究課題/領域番号 |
23249075
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和氣 徳夫 九州大学, 環境発達医学研究センター, 特任教授 (60091584)
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研究分担者 |
恒松 良祐 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20380529)
浅野間 和夫 九州大学, 大学病院, 助教 (30380413)
高尾 知佳 九州大学, 環境発達医学研究センター, 学術研究員 (40612429)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / MDM2型 / シグナロソーム / AHR / -130C/T多型 / NF1C |
研究概要 |
①ERα、Hopx及びSRF遺伝子領域内SNPsと子宮体癌の発生の間には有意な相関を認めなかった。子宮体癌細胞では高率にMDM2高発現を認めるが、SP1阻害剤により発現抑制が導かれることからSPを介するシグナルとMDM2高発現の関連が示唆された。②MDM2プロモータ領域の詳細な解析により-470bp C/T SNP(rs2870820)を同定した。DNA損傷時のMDM2発現誘導を解析した結果、Tアリルに比しCアリルでは発現抑制を生じ、Allelic Expression Difference(AED)の原因となっていた。Tアリルの場合SP1結合サイトが形成され転写を亢進するが、CアリルではSP1結合サイトからNFkB結合サイトへの変換を生じ転写が抑制されるためと示唆された。③AHR-130bp C/CはT/Tと比較し高率にNF1Cと結合しAHRプロモータ活性が抑制された。T/TはNF1C結合親和性が低くAHRプロモータ活性の抑制をもたらさない。-130bp C/T SNPが子宮内膜癌進展にいかに関与するかを解析するため、正常健常人130例及び内膜癌患者121例の遺伝子型を決定した。T/T遺伝子型はC/C及びC/Tに比し進行癌及び未分化癌患者で有意に高率に認められた。内膜癌細胞においてAHRノックダウンによりNF1C高発現、間葉系マーカーの発現抑制、上皮系マーカーの発現誘導が観察され、AHR高発現では逆の現象が観察された。以上からAHRによる内膜癌細胞での上皮間葉系移行(EMT)が明らかとされ、未分化癌さらには進行癌発生の原因となることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的はほぼ達成できている。しかし子宮体癌でのMDM2高発現の詳細なメカニズムについては解明が不十分である。AHR遺伝子プロモータSNP及びMDM2プロモータSNPに関する研究は独創的で今後の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
①MDM2プロモータ-470bp C/T SNPがP53応答性のAllelic Expression Difference導く分子メカニズムの詳細を明らかにする。 ②AHR-130bp C/T SNPがAHRを介する下流シグナルに与える影響さらには疾患発症の原因となるは否かについて詳細に解析する。
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