研究課題
前年度に引き続いて、正常子宮内膜の再構成系と幹細胞追跡システム、ならびに正常子宮平滑筋の再構成系については、その再現性を確認することなどにより、目標としたレベルまでの開発を行うことができた。そこで、異常雌性生殖器官(疾患モデル)の再構成システムの確立を目指して、子宮筋腫の再構成系の開発に着手した。その最中に子宮筋腫細胞から分離した幹細胞は単独では腫瘍を形成しないが、正常子宮平滑筋と共存させると、免疫不全マウスの体内で子宮筋腫様腫瘍を形成することが報告された。これを受けて、そのメカニズムを海外のグループとの共同研究により明らかにした。エストロゲンやプロゲステロンといった卵巣ステロイドホルモンに依存して子宮筋腫は増大することが知られているが、これらのホルモンは、まずその受容体を有する正常子宮平滑筋あるいは子宮平滑筋腫に作用して、これらの細胞からWNTリガンドを分泌させる。WNTはLPR5/6/Frizzled受容体に結合してβ-カテニン/T細胞因子経路を活性化することで、その標的遺伝子群の発現増強、並びに細胞増殖と腫瘍形成を促進することが判明した。従来、子宮筋腫の進展における重要なパラクライン因子としてTGF-βが示唆されていたが、新しいメカニズムを提唱することが出来た。さらに、この系を標的にすることにより、子宮筋腫の制御を可能とする新しい治療薬の開発につながるだけでなく、子宮筋腫モデルを効率的に作成することが可能となる知見が得られた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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