研究実績の概要 |
弾性線維は皮膚や血管、肺などに存在し、組織の柔軟性や可塑性に寄与するが、老化や瘢痕形成にともない障害される。一旦傷害を受けると、十分な再構築は不可能であり、組織の伸縮性は失われ、硬い組織となる。これまで弾性線維の再生は困難とされてきたが、我々は線維芽細胞単層培養において LTBP-4(latent TGF-β binding protein 4)が弾性線維再生を誘導することを見いだした(Noda K, and Nakamura T et al, Proc Natl Acad Sci U S A. 110(8):2852-7, 2013)。今回、小孔径(平均孔径25um)のコラーゲンスポンジを基材とした線維芽細胞三次元培養系において、LTBP-4を添加することによる、弾性線維再生促進作用について検討を行った。平均孔径25um,120℃熱架橋処理したコラーゲンスポンジ(直径8mmの円形)を基材とし、ヒト皮膚由来の線維芽細胞を1×106個播種する培養条件下において、5ug/mlのLTBP-4は、弾性線維再生を促進する。 LTBP-4の投与は、初期に1回でも弾性線維再生に有効である可能性が示唆された。 LTBP-4の弾性線維誘導効果は、in vivoにおいても示された。
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