研究課題/領域番号 |
23249079
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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研究分担者 |
土肥 謙二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20301509)
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 講師 (20349062)
中町 智哉 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教 (30433840)
宮田 篤郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60183969)
池田 聡 鹿児島大学, 医司(薬)学総合研究科, 講師 (00343369)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PACAP / 神経細胞死防御 / ヒト骨髄間葉系幹細胞 / 神経損傷の防御 / トランスレーショナルリサーチ |
研究実績の概要 |
霊長類であるアカゲサルを用いて永久虚血モデルを作成した。これは浜松医学研究所と共同で実験研究を行った。ただ動物個体の脳の血管走行が個体によってかなり異なり、同じ条件での脳虚血を行うことがかなり困難であることが実験結果から明らかになった。ある動物個体においてはPACAPは遅発性神経細胞死を抑制したが、他の個体では有意な細胞死抑制がみられなかった。そこでモデル動物としてどのようなものが適しているかをしらべたところ、共同研究者の鹿児島大学の宮田教授のところでマーモセットを繁殖維持しており、また脳虚血モデルを持っていることがわかったために、宮田教授と共同研究を行うことにした。ただ宮田教授の研究室ではマーモセットの繁殖維持を行っているが、脳虚血実験を行うだけの十分な個体数を確保することができなかったために平成27年度にこのマーモセットを用いた動物実験を行うことにした。 一方、マウスを用いたPACAPによる虚血細胞死抑制と神経再生・新生実験については大変興味ふかい研究結果がえらえた。脳虚血したマウスに生食投与群とPACAP投与群の動物個体から脳(大脳、海馬など)を摘出して急速凍結してアセントン粉末を作成し、DNAアレイ解析を行った。その結果PACAP投与群においてCRMP2という軸索伸張因子の発現が亢進することが明らかになった。さらに遺伝子解析を行いmRNAをRT-PCRを用いて解析したところ、顕著にこの遺伝子がPACAP投与で発現亢進することも明らかになった。またCRMP2抗体を用いた形態学的観察によって大脳皮質や海馬の神経細胞にこのタンパク発現が強くみられることが分かった。以上の実験結果から、PACAPによる神経細胞の軸索伸張についての分子機構が明らかになり、今後霊長類でも同様の作用機序が存在するかを検索することにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスでの脳虚血実験は順調にいっており、昨年度も2編ほどPACAPによる神経細胞死抑制についての分子機構の論文を出版しました。しかしサルの実験についてはアカゲザルの実験は初期の目的を達成してませんので、現在マーモセットを用いた実験計画をたてています。その準備は現在進行中であり、5月から実験をスタートします。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアカゲサルからマーモセットに実験動物も出るを以降し、ヒトへのトランスレーショナルな研究をPACAPを用いて実証する。 さらにマウスの脳虚血モデル動物を用いて実験を行い、PACAPによるCRMP2発現促進の分子神経化学的研究をさらに推進する。
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