研究課題
本研究は、1)食欲制御因子レプチン・エンドカンナビノイドの拮抗的味覚感受性調節機構、2)腸管内分泌細胞の食欲制御因子による感受性調節機構、3)味特異的神経伝達への消化管ホルモンの関与、4)甘味うま味受容体遺伝子の多型性と味覚感受性の連関、の解析を進めることによって、摂食・栄養吸収に協調して働く、口腔消化管味覚センサーのシグナル調節・伝達機構を解明することを目的とする。本年度の計画研究により、1)甘味受容体コンポーネントT1r3を発現する細胞の約40%がOb-Rbを、約60%がCB1受容体を発現すること、さらにその一部はすべての受容体を共発現すること、T1r3-GFP味細胞は発現受容体に対応し、レプチンあるいはエンドカンナビノイドに甘味応答調節されること、正常マウスの味神経の甘味応答は内因性レプチンの調節を受けるがエンドカンナビノイドは働かないこと、逆にdb/dbマウスはエンドカンナビノイドのみが働いていることが明らかになった。2)マウス腸管内分泌細胞培養系STC-1にT1r2,T1r3,CB1,Ob-Rbが発現し、甘味物質の応答はレプチンで抑制され、その効果は甘味受容体とOb-Rbの阻害剤により減弱することが分かった。3)味細胞における甘味受容体とGLP-1,GIPは舌前部で共発現するが、舌後部ではGIPが発現しないこと、味神経が血中へのインクレチン投与により応答し、それらの受容体アンタゴニストにより抑制されること、味細胞での刺激依存的GLP-1分泌測定が可能であることが分かった。4)うま味受容体コンポーネントT1r1、T1r3、mGluR1の支配遺伝子のアミノ酸変異の内、マイナーアレル頻度の最も高いSNPがうま味感受性と有意に連関しており、かつT1rsとmGluR1の間では独立している可能性が示唆された。以上、本研究は計画通りの進捗を得られている。
2: おおむね順調に進展している
4中課題は共に、おおむね計画どおりに展開しており、予想された成果が得られているため。
特にない。計画通りに進める予定である。
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