研究課題
本研究は抗癌剤単剤投与法と比較して新規治療法1群(耐性遺伝子発現阻害物質や治療増強剤と抗癌剤を併用投与)と新規治療法2群(耐性遺伝子発現阻害物質や治療増強剤と共に抗癌剤をハイブリッド型リポソームへ搭載し投与)における抗癌効果を最大にする条件を求め、新規治療法開発を目的とする。リポソームは主成分フォスファチジルコリンとコレステロールにシンドビスウイルス蛋白をハイブリッドしたものを用い、改良を加えながら実験した。昨年までにシスプラチン耐性遺伝子PDE3Bに対する阻害剤(シロスタゾール、ミルリノン、ロリプラム、ジビリダモール、シルデナフィル)併用CDDP療法に関する有効性を明らかにした。本年度は抗癌剤耐性遺伝子AKR1C遺伝子の阻害剤(メフェナム酸、ジャスモン酸)を検討した。in vitro抗癌効果はメフェナム酸新規療法I:49%、II:31%、ジャスモン酸新規療法I:26%、II:39%の向上があった。抗癌剤耐性株担癌ヌードマウスのin vivoでの抗癌効果は両製剤とも新規療法I・IIで向上したが、両療法の差はなかった。次に放射線耐性遺伝子EGFR3遺伝子の阻害剤PD173074を選定しリポソームへの内封を成功させた。in vitroでの単剤投与と放射線4Gyの併用療法を新規療法Iとした。72時間後の細胞傷害率は100nMで9%、IIで19%向上した。in vivoでは放射線剤耐性株を担癌したヌードマウスに対し、単剤0.5㎎腹腔投与あるいは阻害剤含有ハイブリッドリポソームと放射線治療16Gy(4Gy/日)2クール行い、それぞれ新規療法I、IIとして検討した。両療法共に腫瘍抑制効果を示したが、新規療法IIはIより向上していた。すべての治療中に体重減少や死亡は見られなかった。今後、体内での薬理動態の評価を行えば実用化可能と考えられ、特に新規療法IIは臨床応用が期待できる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Int J Oncol.
巻: 42 ページ: 1197-1204
10.3892/ijo.2013.1815.