研究課題/領域番号 |
23249086
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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研究分担者 |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
山田 聡 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (90524984)
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キーワード | 歯周病 / 侵襲性歯周炎 / 分子疫学 / 疾患関連遺伝子 / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
本研究課題は、分子疫学研究に基づく予測歯周病学の基盤構築を行うと当時に、抽出された歯周病関連遺伝子の発現ならびに機能解析を目的としている。平成23年度の研究成果について以下に報告する。 1、分子疫学研究の基盤構築 百寿研究への参加の承諾が得られた80歳群(79-81歳)の伊丹市(317名)等の地区の住民約1000名を対象として、歯周組織検査、一般採血、頸動脈エコー等を実施した。得られたデータを基に多変量解析を行った結果、深い歯周ポケットの残存している被験者に高頻度に心疾患がみられることを見出した。高齢双生児に関しては、大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターの協力のもとで、高齢双生児レジストリー登録者を対象に約35グループの高齢双生児に対して、歯周組織検査、パノラマレントゲン撮影等を実施した。侵襲性歯周炎患者については、Personal Genome解析のために、大阪大学歯学部附属病院を受診した侵襲性歯周炎患者の中で、本疫学研究の対象となる被験者約10名の選定を行った。 2、歯周病関連遺伝子の機能解析 歯を支持する歯槽骨の代謝に関与する分子機構は、歯周組織の恒常性維持を考える上でも極めて重要である。本年度の解析から、生体内に広域に発現するCD73分子が、同分子内のecto-5'-nucleotidase活性により細胞外アデノシンを産生し、アデノシンA2B受容体を介したシグナルにより、骨芽細胞の分化を正に制御する機構を明らかにした。CD73分子は歯肉線維芽細胞・歯根膜細胞にも発現が確認されており、歯槽骨代謝への関与をさらに検討する。また、当教室で樹立した歯根膜完全長cDNAライブラリ(Ful-PerioGen)を基にして、歯根膜において特徴的に発現が認められる遺伝子を選別し、PLAP-1/asporin, ferritin等の遺伝子に関しin vitroにて機能解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたとおり、研究への参加の承諾が得られた関西在住の長寿者家族ならびに大阪大学での高齢双生児レジストリー登録者を対象にした疫学研究を、予定通り開始することが出来た。また、CD73,PLAP-1/periostin, ferritin等の歯周組織の恒常性維持に関与すると考えられる遺伝子を抽出することが出来た。以上のことから当初の計画通り概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に開始した疫学研究を今後も精力的に推進する。また、侵襲性歯周炎患者を対象にしたPersonal Genome解析を平成24年度より開始する予定である(対象予定者の選定は、平成23年度にほぼ終了している)。歯周組織の恒常性ならびに歯周病の発症・進行に関与すると思われる候補遺伝子に関し、発現制御機構およびその機能の解析を推進する。
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