研究課題/領域番号 |
23249086
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70239490)
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研究分担者 |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10243247)
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90570292)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯周病 / 侵襲性歯周炎 / 分子疫学 / 疾患関連遺伝子 / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
本研究課題は、分子疫学研究に基づく予測歯周病学の基盤構築を行うと当時に、抽出された歯周病関連遺伝子の発現ならびに機能解析を目的としている。平成24年度の研究成果について以下に報告する。 分子疫学研究の基盤構築として以下の解析を実施した。百寿者研究への参加の承諾が得られた90歳群(89-91歳)の住民を対象として、歯周組織検査、一般採血等を実施した。共分散構造分析により、栄養摂取と歯周病との間には負の関連が認められ、口腔機能から栄養摂取、歯周病を介した全身へPathwayが示唆された。高齢双生児に関しては、高齢双生児レジストリー登録者を対象に、歯周組織検査、パノラマレントゲン撮影等を実施し、上顎歯列弓幅径長さに関する級内相関係数は遺伝因子による影響が大きいが、現在歯数、平均歯槽骨吸収率、平均歯周ポケット深さに関する級内相関係数は環境因子による影響が大きいことを見出した。侵襲性歯周炎患者については、大阪大学歯学部附属病院を受診した被験者5名のヒト全ゲノム解析を実施し、DNAコーディング領域において9,000遺伝子、22,000の一塩基多型(SNP)が検出された。さらに5検体に共通でタンパク質の機能異常を誘導するSNPとして、35遺伝子72SNPを同定した。 歯を支持する歯槽骨の代謝に関与する分子機構は、歯周組織の恒常性維持を考える上でも極めて重要である。これまでの研究結果から、歯根膜において特徴的に発現が確認されている遺伝子PLAP-1/asporin、periostin、ferritinを対象に本年度は研究を遂行した。PLAP-1/asporinについては当該遺伝子のノックアウトマウスの機能解析を行った。またperiostin、ferritinの機能を抑制させたところALP活性、石灰化が抑制されたことから、これらの遺伝子が歯根膜細胞の分化誘導能を有することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたとおり、研究への参加の承諾が得られた関西在住の長寿者家族、大阪大学での高齢双生児レジストリー登録者、侵襲性歯周炎患者を対象にした疫学研究を、予定通り実施することが出来た。また、PLAP-1/asporin、periostin、ferritin等の歯周組織の恒常性維持に関与すると考えられる遺伝子の機能解析を遂行した。以上のことから当初の計画通り概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も、平成24年度同様に長寿者家族、高齢双生児、侵襲性歯周炎患者を対象として疫学研究を実施する。長寿者家族に関しては、関西在住の73歳(72-74歳)群の住民に対し3年追跡調査を実施する。侵襲性歯周炎患者については、15検体のゲノム解読ならびに解析を実施する。上記分子疫学研究に加えて、歯周組織の恒常性維持に関与すると考えられる遺伝子のin vitro、in vivo機能解析を行い、歯槽骨の代謝に関与する分子機構の解明を精力的に推進する。
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