研究課題
本研究課題は、分子疫学研究に基づく予測歯周病学の基盤構築を行うと同時に、抽出された歯周病関連遺伝子の発現ならびに機能解析を目的としている。平成26年度の研究成果について以下に報告する。当初の計画通り、研究への参加の承諾が得られた関西在住の長寿者家族(百寿者研究)、高齢双生児レジストリー登録者、および侵襲性歯周炎患者を対象にした疫学研究を継続して行った。百寿者研究では、83歳(82-84歳)群の住民に対し3年追跡調査を目的として歯周組織検査等を実施した。その結果、特定の10歯を対象としたCPIスコアに基づいた平成23年度歯科疾患実態調査と比較して、被験者の全歯の歯周ポケットを6点法で計測した本研究では、4mm以上の歯周ポケットを有する被験者の割合が高いことが明らかとなった。高齢双生児に関しては、148組296名の被験者に対し歯周組織検査等を実施し、歯周病の進行は、加齢の過程で暴露される環境因子のみならず遺伝要因による影響もあることが推察された。58名の侵襲性歯周炎患者に対し、歯周組織検査・エクソーム解析を実施した。疾患関連遺伝子探索のために、1000 genome databaseでのMAFが0.05以下のSNPを持つ遺伝子を抽出したところ、カテプシンAが疾患関連遺伝子の一つである可能性が示唆された。PLAP-1/asporin、periostin等の歯周組織の恒常性維持に関与すると考えられる遺伝子について機能解析を行った。その結果、PLAP-1/asporinのN末端に位置するアスパラギン酸(D)の連続配列数には少なくともD12型からD19型まで存在し、日本人において最も発現頻度の高いD13型(約60%)と比べて、日本人において約7.5%存在するD14型は、BMP-2シグナルを制御することにより歯根膜細胞の石灰化を抑制することを明らかにした。また、ヒト歯根膜細胞特異的に発現するperiostinアイソフォームPDL-POSTNが、avb3インテグリンシグナルを介して歯根膜細胞の分化を促進させることを見出した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
日本国立遺伝学研究所の作成している日本DNAデータバンク内のJapanese Phenotype-Genotype Archive(JGA)にて、侵襲性歯周炎患者のエクソーム解析データの一部を公開した(JGAアクセッション番号:JGAS00000000024)。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (13件)
J of Oral Rehabilitation
巻: 42 ページ: 49-56
10.1111/joor.12228.
J Dent Res
巻: 93 ページ: 400-405
10.1177/0022034513520549.
J Dent
巻: 42 ページ: 556-564
10.1016/j.jdent.2014.02.015.
巻: 93 ページ: 89-95
10.1177/0022034514543015.
J Periodont Res
巻: 49 ページ: 260-267
10.1111/jre.12103.