研究課題/領域番号 |
23251002
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
矢ケ崎 典隆 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30166475)
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研究分担者 |
山下 清海 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00166662)
根田 克彦 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50192258)
山根 拓 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (30222376)
石井 久生 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70272127)
浦部 浩之 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (30306477)
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キーワード | アメリカ合衆国 / グローバル地誌 / 移民 / 人口移動 / 博物館 / 基層文化 / 適応戦略 / 文化景観 |
研究概要 |
本研究は、アメリカ合衆国をグローバルな枠組みにおいて地誌学的に再検討するための新しい方法を提示することを目的とする。そのために、アメリカ文化を表層(新しいものを生み出すアメリカ)と基層(古いものが残存するアメリカ)に分類し、基層文化を分析するために、移民の流入と移民が導入した文化要素に着目する。そして、アメリカ国内に残存する古い文化要素と移民の出身地における文化要素について現地におけるフィールドワークにより比較対照し、「世界の博物館アメリカ」の実像を地理学的に解明する。研究対象とするのは、ヨーロッパ系の移民と文化(イギリス系、ドイツ系、フランス系、デンマーク系・北欧系、ポルトガル系)、アジア系の移民と文化(日系、中国系)、そしてラテンアメリカ系の移民と文化である。本年度は、本申請が11月に追加採択されたため、研究計画調書に記載した当初の研究計画を大幅に修正せざるを得なかったが、研究を順調に開始することができた。アメリカ合衆国では、移民の流入プロセス、移民博物館および移民組織について基礎的な資料収集を行った。日系移民と日系文化については、カリフォルニアにおける在米沖縄県人会の活動に着目することにより、また鹿児島県人の園芸農業に着目することにより、日本文化のアメリカへの移植と維持について予察的な調査を行った。移民の出身地の現地調査としては、デンマーク、スペイン、フランス、西インド諸島(ドミニカ共和国)、中央アメリカにおいて基礎資料の収集を行った。以上から、アメリカ合衆国の移民と移民の出身地に光を当てることにより、アメリカ基層文化を分析することの重要性を再確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の申請が採択されたのは平成23年11月であり、補助金の使用が可能となったのは年末のことであった。そのため、初年度は、研究計画調書で提示した研究計画を大幅に修正せざるを得なかったのは誠に残念であった。こうした状況に鑑み、交付申請書では3か月間で実施できる研究計画を提示し、アメリカ、ヨーロッパ、中部アメリカで現地調査を実施することができた。次年度からはさらに効果的に研究を遂行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究は変則的に遂行せざるを得なかったが、2年目からは当初の研究計画に概ね沿うような形で研究を遂行することができるという見通しを持っている。平成24年度にはアメリカ合衆国を対象として、研究代表者と7名の研究分担者がそれぞれ移民集団を分担し、現地調査と資料収集にあたるほか、必要に応じて移民出身地で調査にあたる予定である。
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