研究課題/領域番号 |
23251002
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
矢ケ崎 典隆 日本大学, 文理学部, 教授 (30166475)
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研究分担者 |
山下 清海 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00166662)
加賀美 雅弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60185709)
根田 克彦 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50192258)
山根 拓 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (30222376)
石井 久生 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70272127)
浦部 浩之 獨協大学, 国際言語文化学部, 教授 (30306477)
大石 太郎 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (70433092)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | エスニック地理学 / グローバル地誌 / 移民 / 人口移動 / 博物館 / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
本年度は研究の2年目にあたり、研究代表者および7名の研究分担者がそれぞれの役割分担に応じて、アメリカ合衆国の移民集住地域および移民送出地域においてフィールドワークを実施した。アメリカ合衆国では、日系移民、中国系移民、ポルトガル(アゾレス諸島)系移民、ドイツ系移民、フランス系移民、デンマーク系・スウェーデン系移民、イギリス系移民を対象とした。移民の集住地域を訪問し、移民博物館・資料館、移民関連組織、移民系新聞などについて資料を収集した。ヨーロッパ系移民の場合のように、移民の時代が終わって世代交代が進み、移民文化の記憶が薄れつつあるが、移住のプロセスと経験、移民の生活と産業、本国とのつながりについて移民博物館や移民関連組織を維持することにより、また祭りやイベントを開催することにより、移民集団の歴史を残し意識を共有するための活動が行われている事例が明らかになりつつある。また、移民文化を観光資源として活用することにより、移民文化の存在を他の移民集団やホスト社会に認識させるための取り組みが行われていることは注目すべき点であり、デンマークの街を再現したカリフォルニア州ソルヴァングやドイツ系のオクトーバーフェストの隆盛はそうした事例である。移民博物館のなかには、他の移民集団の文化や歴史を特別展として企画展示することにより、他の移民文化に関する理解や共感を深めようとする動きもみられる。こうした移民文化の観光資源化や共有化の動きは、世界の博物館としてのアメリカ、そして多民族社会としてのアメリカを理解するために有効な方法であることが認識された。なお、移民送出地域については、スペイン(バスク地方)、ドイツ、西インド諸島において移民送出およびアメリカとの結びつきに関して資料収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が採択されたのは初年度の秋のことであったため、申請時の研究計画の調整を余儀なくされたが、2年目が終了した時点で概ね順調に研究が進行している。おもな研究対象地域はアメリカ合衆国の移民集住地域であるが、移民の本国の文化や結びつきを重視するため、現地調査は研究代表者・研究分担者の研究テーマおよび研究地域と個人的スケジュールに応じてフレキシブルに行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者と研究分担者の研究成果を持ち寄り、「アメリカは世界の博物館である」という議論を具体的に展開することにより、アメリカ合衆国に関する新しい知見とグローバル地誌の新しい方法を提示することができる。各研究者がそれぞれの役割を継続するが、移民文化の観光資源化と共有化についても調査研究を進めて行く予定である。また、研究対象とする移民集団に関して、類似点や相違点について比較検討する必要性も感じており、こうした作業を行う予定である。
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