研究課題/領域番号 |
23251004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究所, 名誉教授 (80093334)
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研究分担者 |
阿部 健一 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (80222644)
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90212026)
市川 昌広 高知大学, 自然科学系, 教授 (80390706)
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90336701)
平田 昌弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (30396337)
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キーワード | 生態資源 / エコポリティクス / 地域間比較 / ユーラシア大陸 / アジア海域 / 変容 / 国家規制 / 住民対応 |
研究概要 |
本研究の目的は、ユーラシア大陸辺境域の「生態資源」に焦点を当て、1)生態資源をとりまく変容過程を明らかにし、2)生態資源への国家規制と住民の対応を調査し、小地域の投げかける新たな方向性を見いだし、合わせて、3)生態の全く異なる二地域における共通性を探ることによって両地域の実像を浮かび上がらせることにある。現地調査としては、初年度のH23年度は、マレーシア・南スラウェシ州において、海産物利用に関するWWFと在地環境NGOとの構造的関係についての調査、ラオス・ヴィエンチャンとタイ・チェンマイにおいて染織技術という生態資源についての実践的調査をおこなった。牧畜民による生態資源利用についての調査もインド北部高地のラダークにおいておこない、遊牧民の高地利用について現地調査し、高地環境における生態資源の現状を把握し、近年の生態資源利用の変化について分析を試みた。更に、マレーシア・サラワク州における農山村の人口変化と生態資源の利用の変化に関する現地調査を実施すると共に、人口減少が著しい高知県の山村の生態資源利用に関する調査をもおこない、両地域の生態資源利用の相同性と相違性について比較分析し、両地域の特徴を検討した。文献情報については、ロンドン国立公文書館において、海峡植民地、英領マラヤ、英領インドなどの史料について新たなる知見を蒐集した。一方、生態資源に関する国際会議では、ロンドンで開催された環境と政策を結びつける国際会議(Planet Under Pressure)に参加し、アジアやヨーロッパにおけるエコポリティクスの動向を探った。ジュネーブでは、第63回国際捕鯨委員会ならびにワシントン条約第25回動物委員会に参加し、稀少資源保全の世界的枠組みについて最新情報を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生態資源の現状、近年の変容、国家規制と住民対応、地域間比較についての現地調査と分析、また、生態資源についての近年の動向を把握する上で重要な文献の蒐集、国際的条約についての国際会議などへの参加などの諸活動を積極的におこなった。このように、生態資源という視座から地域の特徴を明らかにするという目的達成のために、研究代表者、ならびに、分担者が協力・相補して研究活動をおこなえているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、生態資源と国家規制との関係を現地調査し、生態資源の地域間比較を試み、関係する文献蒐集や国際会議出席などの活動を積極的におこなっていく。具体的には、H24年度においては、アジア大陸北方域のモンゴル系遊牧民についての生態資源利用調査、タイ・チェンマイにおける染織技術調査、マレーシア・サラワク州と高知県山村における生態資源利用とその変化に関する現地調査を実施する。国際会議には、パナマでおこなわれる第64回国際捕鯨委員会、バンコクで開催される第16回ワシントン条約代16回締約国会議などに出席して、国際条約についての情報を得る。また、ロンドン国立公文書館での文献蒐集も継続して実施していく。
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