研究課題/領域番号 |
23251022
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大杉 高司 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10298747)
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研究分担者 |
春日 直樹 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60142668)
岡崎 彰 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00409971)
関根 康正 関西学院大学, 社会学部, 教授 (40108197)
浜本 満 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (40156419)
小田 亮 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (50214143)
中谷 一 立教大学, 異文化コミュニケーション, 准教授 (50599503)
中川 理 立教大学, 異文化コミュニケーション, 准教授 (30402986)
森田 敦郎 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (20436596)
モハーチ ゲルゲイ 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招聘研究員 (90587627)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 文化人類学 / 再帰性 / 反省性 / 回帰性 / 相互反照規定性 / 比較 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究概要 |
1)代表者、分担者、協力者は、それぞれ以下のとおり実地調査を実施するなかで、再帰的な過程が作動する機制とその社会的・文化的・物理的条件を把握し、個別事象の理論的分析を深めつつある。 大杉高司(キューバ・マタンサス州):エコロジー農業プロジェクトにおける評価指標、春日直樹(フランス・パリ市):ブルーノ・ラトゥール派人類学の現状と今後の展開、岡崎彰(インドネシア、スンダ地方):イスラム主義運動と大衆芸能の相互編成、関根康正(インド、チェンナイ市):歩道寺院における信仰実践者の生存戦略、小田亮(宮崎県気仙沼市):震災復興計画における支援者と住民の関係性、中川理(フランス、プロバンス地方):農業市場のグローバル化と地域農民の実践の変容、森田敦郎(タイ、バンコク市および中部地方):水文観測、洪水防御の発展と反省性の拡大、モハーチ・ゲルゲイ(シンガポール、香港):生薬が媒介する西洋医学と中国医学の連携、[以下、協力者]室越龍之介(キューバ、ハバナ市):若年世代の人生決定における再帰性、村松彰子(宮崎県気仙沼市):震災復興計画における支援者と住民の関係性、木村奈津子(モンゴル、ウランバートル市):ユキヒョウ保護運動と鉱山開発の軋轢、深海菊絵(アメリカ合衆国、ロサンゼルス市):ポリアモリー実践者たちの自己意識と規範意識、田口陽子(インド、ムンバイ市):都市美化運動におけるアカデミクス、メディア、国家の関係性、難波美芸(ラオス、ヴィエンチャン市):都市交通開発プロジェクトにおける移動イメージ。 2)平成24年12月25日、代表者、分担者、協力者のうち11名の参加をえて、一橋大学にて研究会合を開催し、調査の中間報告、討論、平成25年度実施予定の国際会議について情報交換を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、代表者および分担者、協力者は、各自の調査地域と研究テーマで順調に調査を実施し、最終成果の公表にむけてデータと分析を積みあげつつある。再帰性(ないし回帰性、相互反照規定性)の多様なあらわれを把握のするための個別データは、各研究者の調査地域の多様性(キューバ、フランス、インドネシア、フランス、タイ、シンガポール、香港、モンゴル、アメリカ合衆国、インド、ラオス)および、調査テーマの多様性(持続可能性、数学、信仰、農業のグローバル化、洪水防御技術、薬剤、震災復興、希少動物保護、性愛、市民運動、都市交通開発)により充分に確保されてきた。 平成24年12月25日に開催した研究会合では、各自の調査の中間報告およびディスカッションを実施し、平成25年度以降に本格化させる、多様な再帰性の比較検討、理論的精査にむけて、足がかりを作ることができた。 なお、分担者の浜本満氏、中谷一氏は、個別の事情により実地調査を実施できなかったが、これまでに入手してきたデータにもとづき、中谷氏についてはアメリカ合衆国における陰謀論的想像力について、浜本氏についてはケニアにおける道徳性と法の再帰的関係性について、研究を進展させてきた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第一の目的は、再帰的思考と実践の多様性を把握し、近代西洋モデルの再帰性を相対化する視座を拓くことにある。これを達成するため、今後も引き続き、個別地域における個別テーマの実地調査を実施する。 また、平成25年度からは、各研究者が収集したデータの分析を進めるとともに、各自が析出した再帰的実践と思考の様態を相互に比較する作業を本格化させる。あわせて、リフレキシヴィティの語に集約される再帰現象の多形性を、近代化論における再帰性、サイバネティクスにおける回帰性、エスノメソドロジーにおける相互反照規定性の概念などを参照しつつ整理し、理論的検討をより一層深めることを目指す。 これを達成するため、平成25年11月に、人類学のほか隣接諸分野の先端的研究者を内外から招き、国際シンポジウムを開催するほか、分担者らの研究会合を平成24年度に増して開催し、平成26年度の最終成果公表にむけ研究の深化をはかっていく。 なお、平成24年度に実地調査を実施できなかった中谷一氏、浜本満氏は、来年度以降も本研究に積極的に関与する旨、確認済みである。
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