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2013 年度 実績報告書

北朝鮮民衆の生活実態に関する文化人類学的研究―脱北者情報の分析を通して―

研究課題

研究課題/領域番号 23251024
応募区分海外学術
研究機関早稲田大学

研究代表者

伊藤 亜人  早稲田大学, アジア研究機構, 招聘研究員 (50012464)

研究分担者 松谷 基和  東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20548234)
板垣 竜太  同志社大学, 社会学部, 准教授 (60361549)
李 仁子  東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80322981)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード社会主義計画経済 / 非公式活動領域 / 自力更生 / 市場(チャンマダン) / 脱北者 / 額上計画 / 協同農場 / 違法行為
研究概要

北朝鮮社会における民衆生活の実態把握のため、脱北者15名に対する面談調査と生活記録作成、中国延辺での北朝鮮婦人に対する二度の面談調査を実施し、(1)公式の社会制度と組織、(2)非公式領域の活動の両面にわたって資料の集積と分析をおこなった。
前者については、労働者の職場、居住、移動、食料の配給、生活物資の供給、組織生活管理等の実態を具体的に把握でき、工業部門において深刻な動力源と資材不足による国家計画経済の停滞と、民衆生活の危機的現状が明らかとなった。
後者の非公式領域としては、(イ) 公的な機関や企業による自力更生活動として、農業・漁業・鉱業などを含む組織的な副業と貿易などの商活動、(ロ) 納付金と引き換えに従業員の私的な経済活動を容認する「額上計画」の実態把握に焦点を置き、(ハ) 農村(協同農場)については、肥料・営農資材・燃料の不足を補填する非公式活動、農繁期の労働力不足を補うための都市労働者・家庭婦人・学生などの動員の実態、(ニ) 学校および軍における食料・物資の徴収活動と動員などの実態を把握した。さらに(ホ)労働者世帯における食料調達の生活自衛活動として、婦人による採集、縫製、食品製造、豚・ヤギ・兎等の家内畜産、これら商品の市場(チャンマダン)での交換・商活動、農村部への行商、労働者区における家内工業、また山間部の焼畑・違法耕作と作物窃盗など、広範な非公式経済活動が展開している。こうした生活戦略の過程には、情報と人脈、幹部との結託・賄賂、物資の横領・盗み、闇取引などが常套手段となり、公的な機関の幹部との連携が日常化している現状が明らかとなった。
公式の政治理念と統制体制を堅持して、多数の餓死者と体制離脱者を出しながら、一方では生存のためあらゆる非公式活動が拡散・常態化しており、むしろ社会の周縁部において社会主義の経済統制がなし崩し的に破綻している実態が明らかとなりつつある。

現在までの達成度 (区分)
理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] 北朝鮮社会研究の課題と実態調査2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜人
    • 雑誌名

      東北大学東北アジア研究センター報告

      巻: 2014年度 ページ: 1-16

    • 査読あり
  • [学会発表] 北朝鮮社会の人類学的研究―脱北者情報の分析を通して―

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜人
    • 学会等名
      日本文化人類学会
    • 発表場所
      慶応大学
  • [学会発表] 北朝鮮社会における計画経済と私的経済

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜人
    • 学会等名
      現代朝鮮社会研究会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 北朝鮮民衆生活の非公式領域-婦人の副業活動を中心に-

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜人
    • 学会等名
      韓国朝鮮文化研究会
    • 発表場所
      東京大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 北朝鮮民衆の生活実態に関する人類学的研究

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜人
    • 学会等名
      南山大学 「危機の人類学」研究会
    • 発表場所
      南山大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 北朝鮮民衆の生活実態に関する人類学的研究

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜人
    • 学会等名
      東京女子大学現代文化研究所公開講演会
    • 発表場所
      東京女子大学
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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