研究課題
モザンビークでは、パネル化したデータを使って稲作農家の貧困動態を分析した。その結果、天水稲作地域においてはコメの生産量とコメ所得が、灌漑稲作地域では土地当たり生産性(単収)とコメ所得に正の相関が観察された。いずれの地域でも稲作振興が貧困削減に重要な役割を果たすことを示しているが、天水地域における作付面積の拡大は限界に近づいている。ウガンダでは、費用のかかる稲作トレーニングプログラムに代わる低コストの手法として稲作ハンドブックの配布の効果を検証した。ハンドブックを配布から2年後に収集したデータを使用し、傾向スコアマッチングにより効果を分析した結果、正常植えの採用確率が6%ポイント上昇したものの、その他の技術採用や生産性への影響は見られなかった。タンザニアでは、クレジットへのアクセスの効果を分析した。クレジットへのアクセスは、肥料投入や労働集約的な技術の一部を増加させるが、収量には大きな効果がなく、収量を高めるためには資金を貸し付けるだけではなく、栽培技術のトレーニングなどにより技術の採用を促す必要があることがわかった。マダガスカルでは,単収が上昇することが知られているSRI (System of Rice Intensification) が普及しない要因について分析を進めた.その結果、夫婦間で女性の交渉力が強い場合にSRIが採用されない傾向があることを明らかにした.SRIが要求する若苗を1本ずつ疎植する作業は労働集約的であり、しかもマダガスカルでは主として女性が田植えを行うためである。セネガルについては、大規模灌漑と小規模灌漑の管理効率の比較したところ、一般的な通念に反して大規模灌漑に属する農家が小規模灌漑に属する農家と比べて有意に高い単収と利潤を実現していることを見いだした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Pursuit of an African Green Revolution: Views from Rice and Maize Farmers’ Fields, edited by K. Otsuka and D. Larson. Amsterdam, Netherlands: Springer (図書収録論文)
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