研究課題/領域番号 |
23252011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
福田 誠治 都留文科大学, 文学部, 教授 (30128631)
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研究分担者 |
遠藤 忠 宇都宮共和大学, 都市経済学部, 教授 (10104118)
関 啓子 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (20107155)
岩崎 正吾 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30203368)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40280515)
嶺井 明子 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (80209840)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 教育史 / 学校教育 / 学力論 / 教育政策 / 多文化教育 / ロシア / グローバル化 / ボローニャ・プロセス |
研究概要 |
2012年9月3~14日には、サハ共和国とブリヤート共和国を調査した。少数民族独自のカリキュラムを作成しつつある一方で、国家統一カリキュラムが拡大される状況にある。国家統一試験の影響は、地方にも及びつつあり、受験生の流動化が起きていることがわかった。9月29~10月8日には、タタルスタンとモスクワ市の調査を行った。イスラム教徒向けの授業、宗教教育などが拡大する一方で、ロシア語教育の強化も図られていた。10月6~14日には、エカテリンブルク州とハンティマンシースク市を訪れた。ウラルの工業地域の学校には、ICTが普及し、教育イノベーションが進んでいた。石油基地の町では、豊富な財源を使って補充教育が充実していた。11月17~27日には、モスクワ市とペルミ管区の調査を行った。シティズンシップの教育が愛国心の教育と結びつけられる傾向にあった。2013年3月23~29日には、モスクワ市・モスクワ州の補充調査を行った。「宗教文化の基礎と世俗倫理」という新しい教科の指導を教員養成大学で行っている様子がわかった。 月例研究会では、ロシア教育の動向を研究し、大統領令「われらの新しき学校」の翻訳、検討など、基本文献の収集と分析を行った。 調査で判明したことは、かつての伝統的な詰め込み教育から、ヨーロッパ型の学力、いわゆるPISA型学力にロシア全体は動いている。ソ連邦崩壊後の10年あまりは、西側が持ち込んだ「市民」教育が民族相互の尊重へと動いたが、現在はロシアの市民という統合原理を優先するものへと変化している。きわめて少数の民族であるエヴェンキは、サハ=ヤクーチヤの極北地方に1万人ほど住んでいるが、ブリヤート族との結びつきを強め、モンゴル共和国、中国内モンゴルへと交流範囲を広めて、今では3万人ほどを統合し、独自の文化を確認しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査は、2011年度は先進地域を5班、2012年度は少数民族地域を5班に分かれて、重点的に調査した。新国家スタンダードや国家統一試験の実施状況、新教育法の制定などの新しい動きがとらえられた。ヨーロッパとの関係で、グローバリズムが着実に浸透していることが調査された。
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今後の研究の推進方策 |
4月~6月 定例研究会を開催し、専門家にレクチャーを受けるとともに、本年度調査、および研究のまとめに向けた準備を行う。 7月下旬 研究合宿において、各自担当分野の資料収集状況の報告、調査に係わる研究報告、ロシア側研究協力者との連絡状況等の報告と打ち合わせを行う。 9月 モスクワの政府機関、大学などを訪問し担当者と意見交換する現地調査を実施する。 10~3月 月例の研究会にて調査報告を行い、3月には中間報告書を作成する。
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