研究概要 |
GEOTRACES計画に関わる2回の海外学術研究航海を実施し,大きな成果を得た。白鳳丸KH-12-3次航海(7月6日:東京出港,8月14日:東京帰港,ポンペイ(ミクロネシア)に途中寄港)において,北西太平洋のGEOTRACES観測。海水中の鉄(II)を重点的に分析(小畑元(研究分担者)と院生2名が乗船)。白鳳丸KH-12-4次GEOTRACES航海(8月23日:東京出港,10月2日:バンクーバー(カナダ)入港,途中ダッチハーバー(米国)に寄港)において,北緯47度線に沿った北太平洋の東西横断観測。GEOTRACESの主パラメーター(Fe, Al, Zn, Mn, Cd, Cu),δ15N(硝酸),δ13C(全炭酸),放射性同位体(230Th, 231Pa),Pb同位体, Nd同位体)等の分布を精査。なお,東北地方太平洋沖地震(平成23年3月11日)の1年6ヶ月後の海洋モニタリングとして,本州東方海域においても微量元素・同位体の分布状況も精査(GEOTRACES研究者33名が乗船)。 GEOTRACES計画に関わる国際会議・研究シンポジウム等に出席し,研究成果の公表と研究打合せを活発に行い国際連携体制を強化した。4月15~17日:第1回日韓海洋地球科学シンポジウム(ソウル,韓国)(蒲生)/・5月17~19日:PICES/CREAMS Advisory Panel会議(ヨス,韓国)(張勁(連携研究者,富山大学))/・6月24~7月1日:Goldschmidt Conference(モントリオール,カナダ)のGEOTRACESセッション(大久保綾子(研究協力者,原研))。 日本学術会議地球惑星科学委員会SCOR分科会の下にGEOTRACES小委員会を立ち上げ,3/24に第1回委員会を東京海洋大学において開催し,GEOTRACES計画に関わる研究連絡体制を充実させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内で唯一,GEOTRACES計画の要求するクリーン度で海水試料が採取できる学術研究船白鳳丸をできる限り活用し,太平洋における観測航海を主宰,もしくは参加してきた。これまでに北太平洋亜寒帯海域,北西太平洋,太平洋赤道域,南東太平洋において順調にクリーン試料採取と化学分析を実施しつつある。今後,さらに太平洋の南北縦断航海を計画している。 得られた研究成果は,国際会議(Goldschmidt Conference, AGU Meeting, Ocean Sciences Meeting, PICES Annual Meeting, Asia Oceania Geoscience Society Meeting等)や国内学会(日本海洋学会,日本地球化学会等)において迅速に公表し,論文への取りまとめを行っている。 国際GEOTRACES計画の国内対応体として,日本学術会議にSCOR分科会GEOTRACES小委員会を設立した。国際GEOTRACES-IPOとの連携をより緊密化することが期待される。国内GEOTRACES研究者の連携をより強化するために,国内外の学会やシンポジウムにおいてGEOTRACESセッションを積極的に立ち上げ,また若手の大学院生やポスドクの参入を奨励している。
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