研究概要 |
2011年2月に発生したクライストチャーチ地震の余震観測をカンタベリー平野とその周辺の29カ所で行うとともに,2009年秋から行っているマーチソン盆地周辺の2カ所の地震観測を継続し,かつ,20セットの満点計画地震観測システムを購入して,余震観測網より北側の広い範囲に地震観測点を19点設置した.合計50カ所の観測点が稼働しており,GEONETの定常観測点と組み合わせると,南島北部をほぼカバーする大規模な地震観測網を構築することが出来た.沈み込む海洋プレートから脱水した水が上昇して地殻に達し、下部地殻を局所的に「やわらかく」することにより直上の断層に応力集中が生じて内陸地震が発生するという仮説の検証を通して、内陸地震の発生過程のモデルを確立することが本研究の主な目的であるが,今年度設置した観測網は,アルパイン断層の東側の横ずれ断層地域および西側の逆断層地域にまたがり,直下に沈み込む海洋プレート内の地震が広く発生するという内陸地震の断層のイメージングを行うためには,理想的な配置となった.さらに,個々の観測点自体も,道路等から離れており地動ノイズが極めて小さい上に,堅い岩盤が露出しているという理想的なものがほとんどであった.今後データを蓄積することにより,研究目的が達成させるものと期待される. 余震観測においてはデータ回収を2回行い,1回目のデータについては読み取り等の処理が始まっている。高精度のデータによりクライストチャーチ地震の断層周辺の速度構造等を明らかに出来るものと期待される.
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