研究課題
2010年9月のダーフィールド地震(M7.1)、2011年2月のクライストチャーチ地震(M6.3)の余震域とその周辺に、29点から成る地震観測網を設置して余震分布を推定した。このデータを活用することにより3次元不均質構造が精度良く推定され、観測網設置前のデータを含めて、堆積層の厚いカンタベリー平野下で、初めて精度良い震源の深さ分布を得ることが出来た。内陸地震の余震の深さ分布は、中央部で深く両端に近づくほど浅くなるという「お椀型」の分布を示すことが多く、Iio et al.(2009)は、下部地殻内のやわらかい領域に着目する内陸地震の発生モデルに基づき、中央部直下のみに顕著なやわらかい領域があることで「お椀型」の余震分布を説明した。この場合、両端では地震発生域深部で応力が強度を超えていないと推定されるため、両隣では大きな地震が誘発される可能性は低いと考えられる。しかし、ダーフィールド地震については、西側では余震分布の下限が徐々に浅くなる傾向がみられるが、東端では、下限が深いままであることが分かった。クライストチャーチ地震の震源域において、地震前に応力集中が起こっていた可能性が示唆される。また、速度構造に関して、クライストチャーチ地震の余震域の直下に顕著な高速度異常が検知されたが、この不均質構造と大地震発生の関係は今のところ不明である。2012年3月から、南島北部地域に19点の観測点を新設し、2014年度までに南島北部に48カ所から成る地震観測網を設置することが出来た。南島北部では、MT法により沈み込むプレートから各断層の深部へ向かって延びる低比抵抗異常域が推定されているが、地震データの解析から、それに対応するような高Vp/Vs異常域が推定された。この結果は、プレートから脱水した水が断層直下に達し、そこをやわらかくするというモデルと調和的である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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京都大学防災研究所年報
巻: 57 ページ: 94-101