研究課題
超低周波地震や低周波微動など一連の「スローな地震」の発生域は地震発生帯の上限(浅部)・下限(深部)を規定する指標と考えられ、南海トラフにおいては、陸域・海域の観測からその詳細な活動や発生分布が明らかにされてきた。一方で、カスカディアにおいては海底観測がほとんど実施されておらず、沈み込み帯浅部の「スローな地震」に関する研究は進んでいなかった。そこで、本研究ではカスカディア地震発生帯での海底地震観測を実施し、浅部での活動を明らかにすることを目的としている。そのため、平成25年度には海洋研究開発機構の海底地震計35台を用いた長期海底地震観測を開始した。海底地震計設置航海は11月下旬から12月上旬にかけて、カナダの調査船Tullyを用いて実施した。航海に際しては日本側からは海洋研究開発機構の研究者2名、および業務協力員2名が参加し、他にカナダ地質調査所の研究者、在外研究員としてカナダ地質調査所滞在中であった海洋研究開発機構研究員も参加した。また、カナダ地質調査所によって沿岸域にも陸上地震観測点が設置された。これらの観測網は平成26年度秋まで維持される予定である。同時に、本研究に先立つFSとして実施された海底地震観測のデータ解析も進め、観測域北側のNootka fault域に地震活動の高い領域があることを確認し、その地震活動の詳細な分布や発生メカニズムに関する研究を進めた。これらの成果に関しては論文としてまとめて、現在投稿中である。また、同時にFSデータから「スローな地震」の有無の確認も進めたが、今のところ確認にはいたっていない。
3: やや遅れている
カナダ側の観測船手配等の遅れから、観測開始が約1年ほど遅れている。今後、解析の効率化等を図り遅れは取り戻せる見込みである。
設置中の海底地震計回収を平成26年度秋に回収予定である。得られたデータを効率的解析するため、海底地震観測データの扱いを熟知したポストドクトラル研究員の募集を進めている。適任者がいない場合は、地震波形の読み取り等の定型作業を外注し、解析が遅滞無く進むようにする必要がある。
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