研究課題
9月下旬から10月にかけて、カナダ沿岸警備隊観測船を用いて、前年度設置した海底地震計の回収を行なった。回収直前に地元船舶により回収された1台を含み、設置した全点の海底地震計を無事回収し、良好なデータが取れていることを確認した。その後、得られたデータの解析を進めた結果、観測期間中のカスカディア沈み込み帯では、南海トラフで観測されたような低周波地震は発生していないことを確認した。本プロジェクトの最終目的はカナダカスカディア地震発生帯における低周波地震発生の有無を長期海底地震観測から明らかにすることであり、今後、陸上データとの統合データの精査が必要ではあるが、上記結果により当初目的を達成できたと考える。一方で、観測領域北側の断層帯では当初予想より高い地震活動が確認され、それらのデータを用いてプレート境界形状や発生した地震の発震機構を高精度で決定することができた。これは、当初予定していなかった成果であるが、本プロジェクトによって得られた重要な知見であった。これらの研究成果は、本プロジェクトを総括した論文として、米国地震学会誌に投稿し受理され、さらに国際ワークショップにおいても発表し、今後のカスカディア沈み込み帯研究の方向性検討に役立てられた。また、海底地震計で観測されたノイズ部分のデータを解析することにより、堆積層内の異方性構造の解析が可能であることを明らかにし、その成果を国際ワークショップで発表した。ノイズを使った構造・異方性解析研究は本プロジェクト申請時には想定していなかった成果であるが、今後のOBSデータの活用を検討するうえで重要な知見であり、本プロジェクトによる成果の一つとして強調したい。最後に、本年度をもって本プロジェクトは終了するが、本プロジェクトを通して確立したカナダ側研究者とよい協力関係を継続することによって、今後の新たな研究立案に役立てていきたい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bull. Seismol. Soc. Am
巻: 105 ページ: 489-495
10.1785/0120140095