研究成果の概要 |
エジプトのハルガオアシスのアルザヤーン神殿遺跡周辺を対象として,乾燥化という環境変動と文明の関係を調査した。砂中の球状磁性体粒子を環境指標に用いる手法を開発し,エジプト初期王朝成立前4,200~6,700calBCの間に乾湿の繰り返しが2度存在したことを発見した。物理探査によりこの地域の水源は神殿の西2kmにあるゲベル・シーワ山で,ペルシャ期は山体中の宙水を利用,ローマ期は西麓を走る断層破砕帯からの地下水利用だったことを明らかにした。 現在の西方沙漠の水資源・農地開発の動向を衛星画像で分析し,ハルガでは塩分濃度を抑える伝統的な農業が放棄されたため,休耕地や放棄畑が増大している実態を明らかにした。
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