研究課題
本研究は、人口密度、下水道の状況、医薬品等の生理活性物質の使用状況が異なる英国、韓国、中国の都市化が進展している流域で、河川水質モデルを構築し、下水に起因するホルモンやホルモン様物質による水環境汚染の著しいホットスポットを推定する。同時に現地採水し、ホルモンおよびホルモン様物質を機器分析するとともに、ホルモン様作用を多様な水生生物のホルモンリセプターを組み込んだレポータージーンアッセイで総括的に評価し、日本との汚染の相違の比較と今後の対策の検討を行う。第1に流域モデルの検証データを収集するため、各国の河川にて河川水を採水し、人の排泄物由来の各種ホルモンの水中濃度レベルを実測する。調査を行う場所を選定するため、モデル計算を行い、調査地点の絞り込み、限られた現地実測データから年間を通した濃度分布を推定する。第2に魚類のエストロゲン感受性を踏まえ、下水、下水処理水、環境水をリスク評価する。ヒト、メダカ、ゼブラフィッシュ、ファットヘッドミノ、イトヨなどのエストロゲン受容体を組み込んだレポータージーンアッセイを、混合物である環境水に適用し、生態系への影響度を評価、比較する。また、ホルモンやホルモン様物質を化学分析し、ホルモン様活性と比較する。また、分画の手法を用い、活性物質の同定を試みる。第3に,ホルモン及びホルモン様物質汚染の将来変化を予測し、対策を検討する。英国、日本、韓国、中国で現状の下水道整備レベル、生理活性物質の使用状況が異なる国間での・下水、下水処理水、河川水の活性レベルを比較し、その相違の原因を検討する。また、下水道の普及や下水処理の改善が行われる場合の活性レベルの変化を予想し、生態系への影響軽減を評価する。今年度は、レポータージーンアッセイの環境試料への適用方法を検討し、日本の下水、下水処理水、河川水への適用性を検討した。またエストロゲン、ノニルフェノールなどについて環境試料の分析装置を導入し、分析法を開発した。中国、韓国での現地採水とエストロゲン、生理活性物質の抽出を現地で行い、国内で濃縮カラムからの溶出および分析を行った。さらに英国で開発された予測モデルを試験的に使用し、英国河川の一部で生理活性物質の濃度を試算した。
2: おおむね順調に進展している
レポータージーンアッセイ、分析方法の測定系の立ち上げが順調に行え、中国、韓国での流域の絞り込みと現地調査を行えた。また英国での河川での濃度予測モデルを使った、試算を行うことが予定通りできた。
レポータージーンアッセイと機器分析の比較を進める。海外調査を継続して実施し、データ取得を進める。また英国、日本でのモデルによる予測を進める予定である。
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