研究課題
オホーツク海サハリン北東沖は表層ガスハイドレートの密集生成域であることが示されているが、ハイドレート分布の南限については、調査データが無く不明であった。本研究は、「調査の空白域」でありながらメタン湧水を示す観測データが(音響探査によるメタンフレア観測および海底ドレッジによるカーボネート採取により)いくつか得られているサハリン南東沖テルペニヤリッジ周辺において本格的に物理探査および海底コア採取・解析を行い、メタン湧水の発達とガスハイドレートの生成環境を解明しようとするものである。また、得られたデータをサハリン北東沖と比較・総合することによって、サハリン東沖の大陸斜面に広く産する表層ハイドレートの産状と生成環境を明らかにすることを目指している。本年度(最終年度)は、昨年度に続いてロシア調査船ラブレンティエフ号を用いたサハリン沖海洋物理探査とCTD探査および堆積物コア採取を実施した(6月19日~7月6日)。ロシアおよび韓国の国際共同機関と協力して、種々の物理探査(スパーカー地震探査、地形探査、音響探査等)を行って海底深部からのガス・水供給路に関する情報と海底の地形データを収集・解析した。特に音響探査からは、メタンシープの直接的証拠となるフレア(プルーム)が、53箇所(水深98~2203mの範囲)において観測された。昨年度および本年度観測されたフレア位置を重視して16本の表層コアが採取された。サハリン南東沖の水深725mおよび1050mのフレア位置で採取されたコアからはガスハイドレートが発見されたのに続いて、サハリン南西沖の水深323mおよび322mのフレア位置からも表層ハイドレートが発見された。本研究の結果、サハリン南東沖・南西沖におけるメタン湧水とそれに起因した表層ハイドレートの存在が示され、その分布形態は北東沖(デリューギン海盆西縁)に極めて近いことが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Marine and Petroleum Geology
巻: 45 ページ: 198-207