研究課題/領域番号 |
23255001
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40413918)
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研究分担者 |
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40538279)
坂本 健太郎 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 講師 (80374627)
森 貴久 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (90367516)
飯田 高大 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (90455189)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海洋生態 / 環境変動 / 動物行動 / データロガー / バイオロギング |
研究概要 |
本研究の目的は、海洋の中深層に潜水する大型動物・ゾウアザラシ類の捕食行動を新規手法によって数ヶ月に渡って記録し捕食行動の時空間変動に関するデータセットを得ることである。さらに、捕食行動の時空間変動と海洋環境・生物一次生産との関係を解析し、海洋表層の環境変動に対する中深層性大型捕食動物の生態応答を解明することを目的としている。研究3年目にあたる本年度は、新たなデータを取得するための野外調査を実施し、またこれまでに得られた動物行動データおよび海洋観測データの解析・成果発表をおこなった。野外調査は米国カリフォルニア州で6月と2月に行い、キタゾウアザラシに長期加速度計、加速度・画像記録計を取り付けた。また5月と12月に行った回収作業により、新たに繁殖後採餌回遊中の10個体から約2.5ヶ月間分の、換毛後採餌回遊中の11個体から約4-5ヶ月間分の、捕食行動・遊泳行動の連続記録を得ることができた。これらのデータ、およびこれまでに取得されたデータを解析した結果、ゾウアザラシは、繁殖後・換毛後のどちらの回遊中でも繁殖地から遠く離れるほど、捕食頻度が上昇する傾向にあり、中深層の生物密度は外洋で高い可能性が示唆された。また加速度・画像記録計の画像データにおいて、ハダカイワシ等の小型魚類、頭足類等がゾウアザラシに捕食されるシーンを捉えることができ、ゾウアザラシの中深層での餌種について新たな知見を得ることができた。また本年度は平成24年度に実施したゾウアザラシの採餌域での観測船による中深層性生物の観測についてデータ解析を進めた。得られた中層トロールサンプルの同定を進めた結果、48種の魚類が確認された。これらのサンプルについて、カリフォルニア大学サンタクルス校との共同研究により、安定同位体および脂肪酸分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初の計画通り、カリフォルニア州でのキタゾウアザラシを対象とした動物行動の野外調査を実施して新規データを取得し、また動物行動データの解析を進展させることができた。また平成24年度に実施した観測船を用いた中深層生物の観測においてもデータ解析が予定通り進んでいる。それらの成果の一部について、国際学会等での成果発表、論文発表を行うことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでゾウアザラシから得られた行動データについて着実に解析が進み、捕食行動の時空間変動パターンが明らかになりつつある。今後、捕食行動の時空間変動パターンと海洋環境要因・海洋表層の一次生産との関連性について詳細な解析を進めるために、動物行動解析と衛星・観測船による海洋環境解析との連携を強化する。
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