研究課題
人工的な乾燥を引き起こすため、2012年5月までに実験を行う樹木と対照木を選木し、8月から実験を開始する予定であったが、昨年に引き続き、4月の時点の観測で、実験対象である個体を含むいくつかの個体が、自然状態で開花が観察されたため、実験開始を延期し、自然状態での一斉開花観測に切り替えた。自然状態と実験によるものを比較するため、以下のような項目について調査を行った。1) 展葉・開花を引き起こす樹木の生理的閾値と樹体内の水分動態、2) 展葉・開花・結実に伴う樹木内部の炭水化物や栄養塩の動態、3) 展葉にともなう食葉性昆虫の動態、4) 開花にともなう送粉共生系の変化、5) 結実にともなう種子―種子捕食者関係の変化、6) 開花・展葉が生態系全体の物質収支に与える影響これまでの瀬継続的な成長観測結果と一斉開花時の成長観測の比較により、樹木の成長速度が減少することから成長と繁殖がトレードオフにあることが判明した。すなわち、一斉開花によって光合成産物が開花・結実に消費されるため、樹木の肥大成長が減少する。また、一斉開花には栄養塩の貯蔵が重要な役割を果たすことが明確となった。とくに、樹木体内のリンの濃度が低い個体は同じ気象刺激を受けても開花せず、逆に高い蓄積をもつ個体は開花しやすい傾向が明確になった。さらに、開花がおこるような乾燥レベルに達すると、土壌菌相が大きく変化することも明らかとなった。これらの点を論文としてまとめ、雑誌に発表した。
3: やや遅れている
昨年度に引き続き自然状態で開花が起こってしまったので、実験を延期し、自然状態の開花観測に切り替えた。実験は次年度以降に行う予定であるが、自然状態での一斉開花のモニタリングは実験対象木や対照木などを中心に継続されており、操作実験によらない場合との比較データとして非常に意味のある対比となる。
2年連続で、一斉開花が起こってしまったため、操作実験の結果は得られていないが、このように連続した開花が起こることはまれであるため、次年度には操作実験を行える可能性が高いと考えており、実験を行うことが可能である。一方では、自然条件での一世開花のデータも実験対象としたものと同じ個体で比較できるデータが採取できたので、操作実験の結果との比較も、可能となり、非常に興味深いデータにすることができる可能性がある。
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