研究課題/領域番号 |
23255003
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
相場 慎一郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (60322319)
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研究分担者 |
武生 雅明 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (00366410)
宮本 和樹 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (60353877)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱帯林 / 裸子植物 / 森林動態 |
研究概要 |
おもな現地調査は、過去の研究の蓄積があり、現地カウンターパートとの良好な関係が樹立されているマレーシア領ボルネオ島のサバ州でおこなった。長寿命な球果植物樹木の個体群動態を調べるには長期観測が必要であるので、キナバル山の斜面上に1995年に設定された永久調査区を利用した。 24年度は研究代表者が、所属機関の若手教員海外研修制度を利用し、6~12月までイギリスに滞在した。滞在先はキュー植物園であり、マレーシアの植物標本が充実しているので、標本調査をおこない本研究課題の調査区の植物の種同定をおこなった。8月には一時帰国し、キナバル山の熱帯山地林調査区で球果類を含む樹木の成長の年変動を明らかにするため、デンドロメータの再測定をおこなった。10月には、アフリカ・キリマンジャロ山でマキ科とヒノキ科の針葉樹を含む熱帯山地林の予備調査をおこなった。3月には、キナバル山の熱帯山地林樹種(球果類を含む)の水分生理について現地調査をおこなった。3月にはマリアウ盆地のマキ科樹種が優占する熱帯ヒース林に50m四方の調査区を設定し、ナバワンのヒース林付近でおこなっている気象観測データを回収した。 熱帯の球果類樹木の特性を、森林の生産量や生産構造の比較によって明らかにするため、鹿児島県屋久島の球果類樹木(スギ科・マツ科)が出現する温帯林についても、気象観測や樹木直径成長量の調査をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、熱帯性の球果類樹木(マキ科とナンヨウスギ科)の生活史特性を明らかにするために、固定調査区の長期観測データにもとづき、その個体群動態を分析する予定である。既存の調査区を再調査するとともに、これまでにキナバル山の山地林に3つ、ナバワンには3つ、マリアウ盆地に1つの新たな調査区を設置することができた。これにより、環境条件による球果類樹木の優占度の変化を定量的に解析するためのデータが順調に集まりつつある。また、球果類の水分生理についても、共存する広葉樹と比較しながら、キナバル山の山地林で現地調査を継続している。いっぽう、土壌栄養についてはまだ本格的な現地調査はおこなっていない。
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今後の研究の推進方策 |
熱帯林における球果類樹木優占のメカニズムを探るには、球果類樹木が存在しない森林も調査して、比較する必要がある。さらに、温帯の類似の森林(照葉樹林や常緑針広混交林)とも比較することで、熱帯性球果類樹木の特性が明らかになる。以上のことから、熱帯と温帯で既存の森林調査区の再測定をおこない、樹木個体群動態の特性に関するデータを得ていく。熱帯山地林では、水分生理特性についての球果類と広葉樹を比較研究を継続する。 また、成長錐による材サンプリングによって現存量の推定に必要で水分生理特性とも関連する材比重も調査する。マリアウ盆地では、熱帯ヒース林以外の下部山地林や低地林にも新たに調査区を設定する。遅れている土壌栄養についての調査は今後おこなっていく。
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