研究課題/領域番号 |
23255003
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
相場 慎一郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (60322319)
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研究分担者 |
武生 雅明 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00366410)
宮本 和樹 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 研究員 (60353877)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 裸子植物 / 熱帯林 / 森林動態 |
研究実績の概要 |
本研究は、生活史・水分生理・土壌栄養という観点から、球果類樹木が熱帯林において広葉樹との競争に打ち勝って優占するメカニズムを明らかにすることを目的とする。 25年度には、キナバル山の様々な標高と地質条件に設定された熱帯雨林調査区で、設定から18年目にあたる再測定をおこなった。特に高標高および蛇紋岩地で球果類樹木が優占する。これにより18年間の個体群動態の解析が可能となった。25年12月および26年1月には、前年度までの成果に基づく論文がAnnals of Botany誌およびJournal of Ecologyに発表された。マリアウ盆地でも26年2月に球果類樹木を含む熱帯ヒース林を調査する予定であったが、現地協力者の都合により協力が得られなくなったため、来年度に調査を延期した。 さらに、熱帯の球果類樹木の特性を、温帯林との比較によって明らかにするため、鹿児島県屋久島の照葉樹林や球果類樹木(スギ科・マツ科)が出現する温帯針広混交林についても、継続調査区の再調査をおこない、その成果の一部については環境省の報告書でまとめた。長いものでは、照葉樹林で30年間、針広混交林で20年間の森林動態を明らかにすることができた。 土壌栄養条件を評価する方法のひとつとして、キナバル山と屋久島でステンレスメッシュのリターバッグを用いた落葉の分解実験を開始した。水分生理の現地調査も継続している。 特任研究員には、以上の研究にともなう野外調査とデータ解析に従事して頂いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、熱帯性の球果類樹木の生活史特性を固定調査区の継続調査により明らかにすることを目的の一つとするが、比較対象の温帯林とともに、順調に長期観測データを得ることができつつある。水分生理についても現地調査を継続し、土壌栄養についても落葉分解実験を開始することができた。また、本課題の成果から国際誌に論文を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
延期したマリアウ盆地での熱帯ヒース林の現地調査を実施し、新たな調査区を設定する。キナバル山では、既存の小調査区を拡大し、小さくとも50m四方とする。屋久島の照葉樹林や森林限界付近に設置した針広混交林調査区を再調査し、長期の動態データを得る。マレーシア・屋久島両地域で水分生理調査とリター分解実験を継続する。固定調査区で得られたデータを解析し、論文化を進める。
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