研究実績の概要 |
今年度は調査地を広げ,地元住民の理解も得て,多くの地域での比較調査を行うことができた。調査対象種のニューカレドニアセンニョムシクイは、60羽を捕獲し(うち成鳥8羽,雛52羽),足輪を装着し、血液を採取した.捕獲した個体は計測後に放鳥した。これにより、個体識別のもとでの行動観察が飛躍的に進んだ。今年の成果は、宿主であるニューカレドニアセンニョムシクイが、島内の異なる地域で,異なる形質を進化させている可能性があることがわかった点である。また今年はカッコウの個体数が非常に少ない年であることがわかった。これは留鳥個体群でありながら、宿主の密度や宿主の対托卵適応に反応して、カッコウが托卵戦略を変化させていることを示唆している。現在、下記の成果物が電子版で公表されている。Mikami, O., Sato, N. J., Ueda, K. & Tanaka, D. K. Egg removal by cuckoos forces hosts to accept parasite eggs. Journal of Avian Biology online first.また日本鳥学会、国際鳥類学会議にて、口頭、ポスター発表をおこなったほか、横浜市動物園(ズーラシア)と協力して、ニューカレドニア固有の鳥カグーのシンポジウムを開催し,多くの市民の参加を得ることができた。またこのときのシンポジウム内容をもとに誠文堂新光社より,『飛べない鳥』の出版をおこなった。
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