研究課題/領域番号 |
23255011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 直人 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90303255)
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研究分担者 |
後藤 秀章 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (10353682)
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
楠本 大 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80540608)
平尾 聡秀 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (90598210)
濱口 京子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (60343795)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 養菌性キクイムシ / 樹木萎凋病 / ナラ枯れ / Raffaelea quercivora / ナンヨウキクイムシ / Fuzarium属菌 / アボカド / ブナ科 |
研究実績の概要 |
PNGにおいて、樹木萎凋病を媒介する可能性のある養菌性キクイムシのリスク評価に関する、調査・実験を行った。東ハイランド州の2箇所、マダン州1箇所で行った。ブナ科樹木を伐倒・枝落とし、玉切りを行い、1ヶ月林内の林床に放置したあと、幹・太枝(直径2cm以上)・細枝(直径2cm未満)にわけて、網袋にいれて羽化脱出してくる養菌性キクイムシを捕獲した。また、カシノナガキクイムシの集合フェロモンの合成フェロモン、およびエタノールを誘引材として、ファンネルトラップと粘着トラップで養菌性キクイムシ類の捕獲を行った。 パプアニューギニア森林研究所、ウィーン動物博物館、スミソニアン博物館所蔵の養菌性キクイムシ標本のチェックを行った。その結果、フィリピンにカシノナガキクイムシが分布する可能性が示唆された。 カリフォルニア州で、アボカド他の樹木を枯らしているナンヨウキクイムシについて、カリフォルニア大学へ共同研究のために資料を提供したDNA解析を行ったところ、調べた領域についてはタイの個体群がアメリカの個体群と完全に一致した。現在日本のサンプルも分析中である。 インドネシア国ジャワ島中部のメラピ山周辺で、日本でナラ枯れ被害の病原菌であるナラ菌の野外接種実験に関する打合せと現地の予備調査を行った。現地で接種実験に適した場所の選定と選木作業を行い、現在、調査許可待ちの状況である。 また、過去2回の科学研究費補助金研究によりタイ・インドネシア・ベトナム・台湾において採集してきたナラ菌について、日本の系統とともに、コナラ属6種に対する接種実験を行った。系統間の病原力の違いはいずれの樹種でも同様の傾向を示した。常緑樹に比べ落葉樹で反応が大きい傾向が見られたが、もっとも枯死率が高いミズナラは、落葉樹3種の中ではもっとも反応が小さかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
また、当初は計画していなかったこととして、アメリカ合衆国カリフォルニア州で近年ナンヨウキクイムシの加害により、共生菌であるFusarium属菌により各種の樹木が枯れる被害が突然流行を始めた。果樹であるアボカドが大打撃を受けているため、経済的なインパクトが大きく、そのため、代表者や本科研の海外協力者(代表者の元大学院生)に対し、ナンヨウキクイムシのサンプルの提供を依頼があり、共同研究を進めることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
フィリピンにおいてカシノナガキクイムシの採集を行う前に、大英博物館所蔵のタイプ標本をチェックする。タイでは、引き続きベイトとなる太枝を放置することによって、伐採初期に加害するアンブロシアキクイムシを採集する。とくにナンヨウキクイムシについては、森林や果樹園の枯れ枝を割材することによって、積極的に採集を試みる。フロリダ州と南西諸島で、フロリダ大学との共同研究で同様の調査を行う。ナンヨウキクイムシが採集された場合は、共生するFusarium菌を分離培養して将来の接種実験に供する。日本とインドネシアで、自然条件のブナ科生立木にRaffaelea quercivoraを接種して反応を調べる。日本では、コナラ属以外のブナ科植物(Fagus、Lithocarpus, Castanopsis属)の丸太と生立木に対する接種実験を行う。
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