研究課題/領域番号 |
23255011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 直人 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90303255)
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研究分担者 |
後藤 秀章 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 研究員 (10353682)
濱口 京子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 研究員 (60343795)
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 研究員 (70391183)
楠本 大 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (80540608)
平尾 聡秀 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (90598210)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 養菌性キクイムシ / ナンヨウキクイムシ / 樹木萎凋病 / 侵略的外来種 / 果樹 / 森林 / アカシア / シャムシタン |
研究概要 |
平成26年1月11日より26日まで、ロンドン自然史博物館において、所蔵されているキクイムシ類の標本の形態的な特徴などを記録した。そのうちタイプ標本を含めた71種99個体の標本について、画像撮影を行った。結果としてナガキクイムシ科のうち、カシノナガキクイムシに近縁な3種の分類学上の扱いについて、誤りが見つかった。これまでPlatypus sexporusのシノニムとされていたPlatypus sexforaminatusは明らかに別種であり、一方、Platypus ornaticepsはP.sexporusのシノニムであることが判明した。 アメリカ合衆国のUCRと共同でカリフォルニアで問題となっているナンヨウキクイムシの採集とDNAによる系統解析を行った。その結果、我々のグループが台湾で採集した個体と、別途ベトナムのアカシア造林地でアカシアを枯らしている個体群と2つの別々の持ち込みがあったことが判明した。 タイでは、ナンヨウキクイムシの採集とともに、マンゴー、ライチ、リュウガン、アボカドの枝を果樹園に餌木として放置し、およそ1ヶ月後に回収して、これらの樹木の衰弱初期に寄生する種の探索を行った。また、チェンマイでは、11目の樹木種を選定し、枝を餌木として4週間放置した後に、回収して、寄生するキクイムシを調査した。同時にエタノールを誘引材としたトラップを設置して、キクイムシ類の発生消長を調査した。 海外のカシノナガキクイムシから採集したナラ菌(Raffaelea quercivora)の病原力とブナ科樹種間の感受性を比較し、ナラ枯れ流行の原因を検討した。台湾から採集した菌には日本の菌よりも病原力の強い者が認められた。イヌブナではナラ菌はほとんど広がらなかったのに対し、ミズナラでは系統間に関係なくナラ菌の広がりが大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカ合衆国やベトナムなど、日本と同様に養菌性キクイムシの被害が問題になっている国の研究者と共同研究を進めているのみならず、タイのような被害の発生していない国では、鎌田のところで学位を取得した卒業生のネットワークを利用して共同研究体制を構築した。その結果、日本人研究者が海外に行かなくても、餌木の設定など野作業を行ってくれるまでになっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は後藤がCSIROの標本調査にオーストラリアに行く。アメリカ合衆国のUCR、フロリダ大学とナンヨウキクイムシやハギキクイムシによる樹木萎凋病害に関する情報交換と共同研究を進める。10月にユタ州で開催されるIUFRO世界大会と11月にオレゴン州で開催されるアメリカ昆虫学会でシンポジウムに招待され講演を行う。ベトナムのアカシアを枯らしているナンヨウキクイムシの被害については、ベトナム森林保護研究所のPhan Quan Thu所長のグループと共同で、捕食者の探索を行う。タイでは、チェンマイにおいて、11目の樹木種を選定し、太い枝を餌木として4週間放置した後に、回収して、寄生するキクイムシを調査する研究を3ヶ月間隔で行う。同時にエタノールを誘引材としたトラップを設置して、キクイムシ類の発生消長を2週間間隔で調査する。シャムシタンの植林地における樹木衰退に関する研究を行う。
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