研究課題/領域番号 |
23255013
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
浜野 かおる 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (40371827)
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研究分担者 |
高橋 徹 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70369122)
矢野 豊 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (70371854)
前野 幸男 独立行政法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, その他 (70372000)
筒井 功 独立行政法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, 研究員 (80425529)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | P. monodon / L. vannamei / ウイルス疾病 / 疫学調査 |
研究概要 |
今年度2012年のマレーシアでの調査では、L. vannameiの病気が深刻になっており、在来種P.monodon養殖への回帰が見られた。P.monodonの親のルートは、近郊のアンダマン海およびボルネオ島サバ州沖、海外のモザンビーク産と輸入もしており、高成長の点からモザンビーク産が最も評価されていた。L. vannameiはシンガポール、タイ等から種苗を輸入していた。今回の調査ではL.vannameiに急性肝膵臓壊死症(AHPNS/EMS)という新疾病が発生し急速に広がっていた。タイでも同様だった。インドネシアでは、2006年に感染性筋壊死症(IMN)が発症し2009年まで頻繁に起こっていたが、現在はホワイトスポット病(WSD)のみが流行している。インドネシアではP.monodonの親は近海もので、L. vannameiの親はハワイから輸入し国内で種苗を生産していた。フィリピンでは、P.monodonと共に L. vannameiの養殖もおこなわれており、現在もWSDの被害が主である。P.monodonの親は近海で取れたものを使用している。これまでの疫学調査結果の傾向として、自国の親エビを利用している国では疾病の種類は限られており、親エビや種苗を輸入している国では、新疾病が発生し、疾病の種類が増加している。各国で販売されている汽水エビについてウイルス保持検査をnestedPCRで行ったところ、フィリピン産ではホワイトスポットウイルス(WSSV)が、インドネシア産ではWSSVおよび伝染性皮下組織造血器壊死症ウイルス(IHHNV)が、タイではイエローヘッドウイルス(YHV)およびIHHNVの感染が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査予定国での疫学調査は問題なく順調に進展している。タイをはじめとして、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンのエビ養殖大国での疫学調査データが蓄積されてきている。東南アジア諸国の疾病状況は毎年変化しており、継続しての調査が必要であると感じている。各国の協力機関との関係は問題なく、共同研究として認知されている。今年度はマレーシアおよびタイで外来種のバナメイに新しい細菌性疾病が流行し広がっており、疾病防御策は調査予定国すべての国において重要事項となっている。課題進行に重要であるふ化場の紹介も協力機関から受けることができ、来年度から養殖エビの採取を始める予定となっている。当初予定していた養殖池内からのベントス類の採取においては、病原体の感染形態がわかっていないために、防疫の面から外部者が池に入って採取することは困難である。そのため、ベントスの項目を質問事項として疫学調査に加えることによって、養殖池内のベントス相を調査することにしている。
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今後の研究の推進方策 |
現地での疫学調査と同時に、調査各国で生産された汽水エビのウイルス保有状況を調べ、親エビや種苗の移動と病気発生との関係を探る。各国で保有率の高いウイルスについては、遺伝子の変異等を調べ、ウイルスの伝播経路の推定に役立てる。来年度は、ふ化場で作成した同ロットの稚エビを異なる地域で養殖して2カ月経過したエビサンプルを入手し、ウイルス保持検査を行う予定にしている。異なる地域で養殖した同ロットのエビの入手、が、垂直感染あるいは水平感染を証明するために重要であり、マレーシアのペナンにあるふ化場から協力が得られることになっている。タイについては、協力を得られるふ化場を現在探している。ウイルス感染経路推定のためには、分子疫学手法が必要となるため、日本での解析となるが、サンプル(ウイルス遺伝子サンプル等)の持ち帰りが必要となるため、書類の整備が必要となり、現在準備中である。
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