研究課題/領域番号 |
23256002
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
橋口 義久 高知大学, その他部局等, 名誉教授 (10037385)
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研究分担者 |
是永 正敬 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (00128274)
上里 博 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10137721)
三森 龍之 熊本大学, その他の研究科, 教授 (00117384)
加藤 大智 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (00346579)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | エクアドル / ペル‐ / リ-シュマニア症 / 伝播疫学 / 病態生理 / サシチョウバエ / ロ-ション / 局所療法 |
研究概要 |
本研究課題の目的は中南米型リーシュマニア症(「リ症」)の分子伝播・疫学及び病態生理を研究し、本症の医学・生物学の解明と予防対策に役立てることである。平成24年度の主な研究実施計画:①エクアドル及びペルーの患者・媒介者及び保虫動物について分子疫学・生物学的手法を用いて調査研究する。また②アルゼンチンの内臓「リ症」患者検体の遺伝子解析を試みる。研究成果の主な内容:①エクアドル各地の患者由来FTA検体の解析ではL. (V.) braziliensisが従来知られていたアマゾン地域での分布に加え、太平洋側低地やアンデス斜面でも広く分布していることが判明し、今後、治療や予防対策面での再検討を迫られた。 一方、②ペルーの患者由来FTA検体からL.(V.) braziliensis とL.(V.) peruensisのHybrid株が検出され、この実態を解明し、治療・予防対策を検討する必要がある。③ エクアドル産サシチョウバエのrRNA ITS1及びITS2 sequenceを継続精査し、「リ症」伝播との関係を考察した。また、④エクアドルImbabura県で患者治療と同時に媒介サシチョウバエの自然感染も調べたところ、不明種からPCRによりL.(V.) brziliensisが検出され、今後の詳細な検討が必要になった。⑤ペルー アンデス地域のサシチョウバエについては継続してGenotypingを試みた。 ⑥アルゼンチンの内臓{リ症}の病原虫L. (L.) infantumの遺伝子解析に基づきその由来を考察した。⑦「リ症」患者の局所療法としてGlucantimeとMerthiolateの混合ローションを作成したところ好結果がえられた。研究の意義及び重要性:研究成果は「リ症」の医学生物学の理解と解明に貢献すると同時に、本症の治療や対策上重要であり、その意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は2011年11月末に追加採択され、その直後に研究代表者はエクアドル国政府招聘研究者(教授)として同国大学に所属してリーシュマニア症の研究を継続することになった。 このため、エクアドルの流行地では短期派遣共同研究者とともに予想以上の成果をあげることができた。一方、ペルーの流行地では大雨による被害のため、渡航・調査を中止せざるを得ない事態が発生したが、幸い、現地の強力な共同研究者の協力により、患者検体や媒介サシチョウバエの標本が入手でき、詳細なPCRその他の解析が可能となり、研究成果のみならず国際共同研究の在り方としても特筆に値する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は1986年以来長年の継続研究・実績の下、相手国共同・協力研究者との連絡や協力体制は極めて良好であり、今後も研究上の相互の信頼関係を重視しつつ調査・研究を遂行する所存である。また、今年度の研究では幾つかの検討課題も生じた。特に①患者に最も必要な新規治療薬(法)の検討、②重篤な症状を惹起する病原虫L. (V.) braziliensisの分布域特定、あるいは③ペルーのL.(V.) braziliensis とL.(V.) peruvianaのHybridの早期実態解明等々を実施し、本症の治療と予防対策に反映させることが今後の研究推進方策上急務である。
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