研究課題/領域番号 |
23256004
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
服部 俊夫 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (30172935)
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研究分担者 |
仁木 敏朗 香川大学, 医学部, 助教 (40558508)
平島 光臣 香川大学, 医学部, 客員研究員 (70109700)
C.-Y. HAORILE 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50624821)
久保 亨 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (50444873)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | デング熱 / デング出血熱 / バイオマーカー / オステオポンチン / ガレクチン |
研究概要 |
Galectin-9(Gal-9)は病態により炎症の亢進にも抑制にも働くことが報告されているユニークな免疫制御因子である。我々はこの因子の血漿中濃度をELISAで測定し、その量がデング熱及びデング出血熱発症において、他の疾患ではみられないほど上昇していることを、2009年にサンラザロ病院で収集した検体で見いだした。そこで2010年のサンプルを用いて、詳細な解析を行った。感染者の62%がsecondary infectionであった。デングウイルスのサブタイプをLAMPで解析すると4型のすべてが見いだされた。またそのウイルス量もリアルタイムPCRで測定した。するとウイルス型が検出された群ではウイルス量が高く、検出されなかった群と比べて抗体量はむしろ低いことが明らかになった。また、これらの患者血漿を用いて、デングウイルスの分離を行い、遺伝子配列を決定した。これらのウイルスを用いてin vitro のウイルス感染実験の準備が順調に進んでいる。Gal-9を分泌する細胞をフローサイトメトリーで特定するために、FITC標識Gal-9を作成し多色解析によりGal-9を発現するT細胞(ThGal-9)を見出した (PlosOne PMID:23144904) 。このT細胞は細胞表面にGal-9を発現しており、それを分泌することによりTregを誘導し、Th17を抑制する。我々はさらに2011年に収集したデング熱患者の末梢血細胞の解析をして、CD4, 8細胞や、NK細胞、マクロファージがGal-9を細胞表面に発現することを明らかにした。それらの様々な細胞と血漿Gal-9の値を検索すると最も相関をしているのはGal-9を発現しているCD8細胞であり、急性デング感染症では血漿Gal-9の主な産生細胞はCD8であることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要な抗体の調製と供給、患者血漿検体のGal-9のELISA測定をタイムリーに行い、デング患者の臨床データーとの解析が既に終了しており、現在はその成果を論文投稿中または作成中である。。またGal-9を産生・分泌する免疫細胞についての基礎研究より、病体解明の新たなサロゲートマーカー候補を見出した。また、デングウイルスの分離も順調に終了し、デングウイルス増殖阻止物質の発見のための感染実験系の確立と病態学の解明のための研究が進行しつつある。来年度にむけ、基礎的データの回収(細胞腫による発現量の変化、genetic change)と解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、デングウイルス感染実験を確立し、デングウイルス増殖阻止物質の発見及ぶ病態解明を行う。また、凝固系に絡む炎症分子としのN-halfの研究では、凝固系の中心物質とされているtissue factorを測定し、N-half OPN の上昇の機構を明確にする。
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