研究課題
本研究では,意思決定とデータの提示が交互に繰り返される「オンライン意思決定」の問題に対し,アルゴリズムの設計と解析に関する一般的な方法論を確立することを目的としている.本年度は,主に以下の3つの成果を得た.1.オンライン予測アルゴリズムの性能解析においては,正則化項の強凸性が重要な役割を果たすことが知られているが,本研究では,新しい強凸性の概念を導入することにより,従来よりもタイトな性能限界を導出する解析技法を与えることに成功した.この技法は,今後この分野の教科書に掲載されるべき画期的なものである.また,この解析技法を用いることにより,対数行列式を正則化項として持つアルゴリズムが,行列の広いクラスに対して最適な性能を与えることを示した.これは,協調フィルタリングによる推薦システムなど幅広い応用が期待される結果である.2.順列のオンライン予測問題に対し,学習者へのフィードバック情報が制限されたバンディット型アルゴリズムを与えた.従来手法では,データ構造から順列を取り出すために#P困難問題を解く必要があったが,本手法では,乱択ソーティングを行うだけでよく,効率を著しく改善することに成功している.3.メトリカルタスクシステム(MTS)問題は古くから研究されている代表的なオンライン意思決定問題であり,様々なアルゴリズムが提案されている.しかし,動的ルーティング問題における経路や全域木のように,決定集合が組合せ論的に定義されるような場合には,従来手法では計算量が指数的になるという問題があった.本研究では,MTS問題が決定集合上の乱択サンプリングの問題に帰着できることを示すとともに,経路や全域木など様々な組合せ集合が,実際に効率よくサンプリング可能であることを示した.これにより,実時間で解けるMTS問題のクラスを飛躍的に拡大することに成功した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件)
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