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2012 年度 実績報告書

時空間タイリングによる高性能シミュレーションコードの生成

研究課題

研究課題/領域番号 23300006
研究機関京都大学

研究代表者

中島 浩  京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (10243057)

研究分担者 岩下 武史  京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (30324685)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードハイパフォーマンスコンピューティング / タイリング / コード生成 / コード変換
研究概要

前年度に設計した各アプリケーションの時空間タイリング技法に基づき、それぞれタイリング対象のコード断片、大域情報、タイリング技法に分割したコード設計を行った。コード断片と大域情報の記述には、局所視点プログラミングに適した言語Physisをベースとし、各アプリケーションの特性に応じて所要の拡張を施した。
またタイリング技法については、複数の空間ループの列を融合したものをタイル化する方法と、個々の空間ループをタイル化して順次実行する方法とを比較した。前者は参照局所性に優れているが、ループボディが複雑化するためにコンパイラによるSIMD化などが困難になる傾向がある。比較検討の結果、PIC法のように複雑なものだけでなく、マルチグリッド法やFDTD法のように比較的単純なものであっても、SIMD化が困難であることが明らかになった。そこで、ループの単純化と参照局所性の維持を両立させるために、空間タイルループあるいはその最内ループをループ分割することで、一定の効果が得られることを確認した。またこの手法は、メニーコアプロセッサに対して特に有効であることを、予備評価によって確認した。
さらに前年度の研究で、時空間タイルの大きさだけでなく各次元のサイズが性能に強く影響することが明らかになったため、FDTD法のタイリングを対象として、各次元サイズを適切に調整するオフライン自動チューニング手法を開発した。このチューニングのための4次元パラメータ空間は巨大であり、また次元サイズの微小変化によって鋭敏に性能が上下することが明らかになったため、モンテカルロ法を用いた大域的探索と、問題の性質を利用した局所的で詳細な探索を組み合わせた探索手法を開発した。この結果、タイリングを施さないベースライン実装に対して、2.2倍の性能向上が得られるパラメータが、1000回未満の試行で得られることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各アプリケーションのコード設計は予定通り進捗し、それぞれについて概ね期待通りの性能が得られることが明らかになった。またループ単純化と参照局所性とを両立させる新たなタイリング方式や、タイルサイズのオフライン自動チューニングの有効性も確認した。しかし特にメニーコアプロセッサでは、アドレス計算の単純化など新たな課題が見出されており、また自動チューニングについては問題の性質に依存する探索法の一般化が課題となっている。

今後の研究の推進方策

各アプリケーションのタイル化コードに対して、複数のマルチコアプロセッサを持つノードから構成される大規模並列システムと、マルチコアプロセッサとメニーコアプロセッサからなる小規模な並列システムの双方を用いて、性能評価とそれに基づく改良を行う。特にメニーコアプロセッサについて、ループボディでのメモリアドレス計算の単純化など、特有の技法の適用を試みる。またオフライン自動チューニングについて、FDTD法で利用した問題依存の性質に相当する性質が、他の問題についてはどのようなものあるかを明らかにするとともに、多くの問題に適用可能な一般化を試みる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 冗長な計算を伴わない3 次元FDTD法の時空間タイリング2013

    • 著者名/発表者名
      南武志
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム

      巻: 6(1) ページ: 56-65

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Plasma Particle Simulations on Stray Photoelectron Current Flows Around a Spacecraft2012

    • 著者名/発表者名
      Yohei Miyake, Hideyuki Usui, Hirotsugu Kojima, and Hiroshi Nakashima
    • 雑誌名

      J. Geophys. Res.

      巻: Vol. 117, No. A09210 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1029/2012JA017673

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ブロック化赤-黒順序付け法による並列マルチグリッドポアソンソルバ2012

    • 著者名/発表者名
      河合直聡
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム

      巻: 5(3) ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [学会発表] Algebraic Block Multi-Color Ordering Method for Parallel Multi-Threaded Sparse Triangular Solver in ICCG Method

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Iwashita
    • 学会等名
      Intl. Parallel and Distributed Processing Symp.
    • 発表場所
      Shanghai, China
  • [学会発表] Parallel Smoother Based on Block Red-Black Ordering for Multigrid Poisson} Solve

    • 著者名/発表者名
      Masatoshi Kawai
    • 学会等名
      Intl. Mtng.High-Performance Computing for Computational Science
    • 発表場所
      Kobe, Japan
  • [学会発表] Performance Evaluation of Multi-threaded Iterative Solver on Recent Processors

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Iwashita
    • 学会等名
      2013 SIAM Conf. Computational Science and Engineering
    • 発表場所
      Boston, MA, USA
  • [学会発表] Development of a Scalable PIC Simulator for Spacecraft-Plasma Interaction Problems

    • 著者名/発表者名
      Yohei Miyake
    • 学会等名
      Intl. Mtng.High-Performance Computing for Computational Science
    • 発表場所
      Kobe, Japan
  • [学会発表] Xcryptを用いた3次元FDTD法プログラムの自動チューニング

    • 著者名/発表者名
      日比野元春
    • 学会等名
      日本応用数理学会2012年度年会
    • 発表場所
      北海道稚内市
  • [備考] OhHelp Library

    • URL

      http://www.para.media.kyoto-u.ac.jp/ohhelp/

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公開日: 2014-07-24  

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