研究課題/領域番号 |
23300007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩原 兼一 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00133140)
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研究分担者 |
置田 真生 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (50563988)
伊野 文彦 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (90346172)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高性能計算 / GPUコンピューティング / コンパイラ |
研究概要 |
高性能計算分野でGPGPUは有効な技術として定着している.行列積計算など特定の計算をするGPUプログラムの開発が研究の中心である.他の計算をするには他のGPUプログラムの開発が必要である.GPGPUをより広範囲で有効とするためには,次の2つのGPGPU技術の開発が不可欠と考え,その開発を研究目的としている.a)概念上,異種タスクを多数同時に処理するGPGPU技術.b)コンパイラのように任意のユーザ定義式を処理可能とするGPGPU技術.そのための具体的題材として,ユーザが生体機能記述言語により生体機能をモデルとして記述し,それをシミュレーションすることを題材に研究を進めている. 平成24年度は,遅延微分方程式(DDE)および関数の集合で表された生体モデルを対象に,その数式群の数値解を計算できるようにした.これにより,処理可能な生体機能モデルの対象を拡大できた.GPUは内部に多数のコアを持つ並列計算機であるが,それらのコアは複数個ごとにグループ化されており,グループごとに処理内容を統一したときに処理効率が高い.一方,処理内容を統一できない場合は,GPUでの性能向上は望めない.これを解決することが,上記a)およびb)の問題点の解決が最も重要である. 上記a)の問題点を解決するために,スタックマシンを用いたインタプリタ方式を考え,それをさらに高速化する手法を開発し,その手法の副産物として,b)の問題点も開発した. DEEを用いた視覚野神経モデルは,興奮性神経細胞を縦横101 個のメッシュ状に並べたものを上下2 層に接続したモデルである.このモデルは代数関数を1,377,145個,常微分方程式を 387,638個,遅延微分方程式を 20,402個の数式規模である.この処理時間に関して,CPUの1コアでの実行に対して,GPUでは最大で約24倍の高速化を達成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度までの達成度は計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
GPGPUに関しては計画ステップを前倒しに実施する.なお,計算対象に関するGPGPU処理で考案した方法は,共有メモリのマルチコア・コンピュータでの実行にも適用可能なので,GPUだけでなく実行環境をマルチコアコンピュータにも拡張し,性能比較する.また,新たに心筋細胞モデルを実験対象とする.このモデルは規模が大きいので複数GPUでの処理を試みる.ただ,モデル規模が大きくなると,対応するグラフの規模が大きくなり,使用するメモリ量が増加することが問題であり,この対策が新たな課題となる.
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