研究課題/領域番号 |
23300010
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鵜林 尚靖 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80372762)
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研究分担者 |
福田 晃 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80165282)
久住 憲嗣 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10380685)
亀井 靖高 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10610222)
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キーワード | アーキテクチャ / アーキテクチャ記述言語 / アーキテクチャ点 / アーキテクチャ点写像 / Arcface / アーキテクチャ / 設計追跡性 / SMTソルバー |
研究概要 |
アーキテクチャ設計は高品質なソフトウェアを構築する上で重要な役割を果たす。保守性や信頼性などソフトウェアにおける主要な品質特性はアーキテクチャ設計の良否に大きく依存する。しかしながら、開発者の意図を正確に反映し整合性のとれたアーキテクチャを構築すること、そのアーキテクチャを正しくプログラム実装につなげることは容易ではない。アーキテクチャ設計とプログラム実装の間には抽象度など様々なギャップが存在するからである。 本研究では、この問題に対処するため、「ドメイン特化型アーキテクチャ記述言語構築機構」「アーキテクチャ検証機構」「アーキテクチャ設計とコードの同期機構」の3つの課題に取り組む。平成23年度は、課題解決のための基盤技術として、アーキテクチャ点およびアーキテクチャ点写像を提案した。また、これらの概念を我々が提唱するArchface(アーキテクチャ設計とプログラム実装の間で守らなければならない契約を言語機構上のインタフェースとして記述する方法)と統合した。アーキテクチャ点とは、振る舞いと構造の両面からアーキテクチャ設計の本質部分を表現するための「設上の点」である。一方、アーキテクチャ点写像とは、設計追跡性を実現するための機構である。アーキテクチャ点およびアーキテクチャ点写像の概念を導入することにより、適切な抽象度でアーキテクチャを記述し、さらにその抽象度を保持しながら設計とコードの間の対応を双方向に追跡することが可能となる。我々の方法では、アーキテクチャはアーキテクチャ点の集合とその要素間の制約により表現される。したがって、アーキテクチャ点の概念はArchfaceベースのドメイン特化言語(DSL:Domain-Specific Language)を構築する際の鍵となる。さらに、アーキテクチャ検証はアーキテクチャ点間の制約充足可能性判定により行われる。この検証にはSMT(Satisfiability Modulo Theories)ソルバーが使用される。アーキテクチャ設計とコードの同期機構(設計追跡性)は、設計上のアーキテクチャ点が整合性を保ちつつコード上のプログラム点に写像されているか否かを確認することにより検証される。この検証にもSMTソルバーが用いられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は「ドメイン特化型アーキテクチャ記述言語構築機構」「アーキテクチャ検証機構」「アーキテクチャ設計とコードの同期機構」の3つを実施した。これらの基盤となる機構として、アーキテクチャ点およびアーキテクチャ点写像の概念を考案した。アーキテクチャ点に基づいたアーキテクチャ記述言語、アーキテクチャ点写像に基づいた設計とコードの同期、SMTソルバーを用いたアーキテクチャ検証が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度はアーキテクチャ点およびアーキテクチャ点写像に関する途中段階の研究成果を国際ワークショップで発表した。今後は国際会議および論文誌に発表して行く予定である。研究計画では本研究の適用領域の一つとしてコンテキストアウェア・アプリケーションを掲げているが、これについては平成23年度にコンテキストの分析法、コンテキスト指向プログラミングを対象としたSMTベースの検証方法を開発した。今後はコンテキストアウェア・アプリケーション開発に必要なアーキテクチャ点に関する研究を実施する予定である。
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